10回、目が合ったら告白します。【kne】② (ページ2)

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家に入ってからもドキドキはおさまらなくて、ふわふわとした頭で階段を上る。

お母さんが何か声をかけてきた気がするけどあんまり聞こえなかったから、そのまま無視して部屋のベッドにダイブした。

「叶先輩の彼女...」

何度言葉にしても夢みたいで信じられない。

あの叶先輩の彼女になれたなんて何かの間違いじゃないんだろうか。

何度も先輩の言葉を頭の中で響かせて、私に向けたあの瞳を思い出すと胸が痛くなった。

「…かなえ、くん」

言葉にしたところで恥ずかしくなって思いっきり枕に顔を埋める。

一人でジタバタと足を動かしているとスマホがメッセージを受信し、現実に引き戻された。中を見ると親友からだった。

＜今日はたくさん話せた？＞

なんとグッドタイミング。すかさずロックを解除してすぐに返信をした。

＜驚かずに聞いてね＞
＜先輩と付き合うことになりました＞

送ってすぐに既読されたことを伝える文字が浮かび上がり、親友からの返事をワクワクドキドキしながら待っていると、不意に着信がかかった。

慌てて画面をスライドして、機械を耳に当てると興奮気味の声が鼓膜を刺激する。

「ちょっと意味が分からなくて頭が追いつかないから詳しく説明して」

それから一時間ぐらい今日の流れを長々と親友に話した。

自分のことのように嬉しそうに聞いてくれる親友に私も嬉しくなって一方的に話しをしてしまった気がする。

ベッドに入って目をつむってからもやっぱり先輩の顔が浮かんできて、眠いはずなのにまたドキドキする私は本当に先輩のことが好きなのだろう。