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ささやかな ページ4

今日も静かな1日だった。
時刻は午後4時。あと1時間もすれば図書室は閉まる。
放課後にここへ来る生徒は少なく、大半は昼休みに漫画を読みに来るだけだった。それでもいつもなら2、3人はいるのだが、今日はそれすらない。

つまりここにいるのは私だけだ。
読んでいた本を伏せ、軽く伸びをする。楽な仕事ではあるが、1日中いるのは少し疲れる。まあ、本を読めるので文句はないが。

ふうと一息ついたところで、引き戸の開く音が聞こえた。
入ってきたのは2人。その顔を見て、私は少しだけ驚いてしまった。


そっくりだったからだ。





「「こんちは」」
「……こんにちは」



同時に挨拶をしてきた2人に、事務的な挨拶を返す。

きっと「宮兄弟」だ。女の子たちが噂しているのを聞いたことがある。イケメンの双子がどうとか言っていたが、確かに2人共整った顔立ちだった。

高校にも双子っているんだな、と考える。
私だったら兄弟と同じ高校なんて行きたくない。まあ兄弟はいないけど。





「司書さん、変わったんすね」
「はい。今年からです」
「侑、覚えてへんの。着任式で挨拶しとったやんか。美人やて噂されてたし」
「あー、多分寝てたわ」



そういう噂は本人の前で言うべきではないだろう、と思ったが口にはしなかった。見た目について言及されるのは慣れている。

ツム、と呼ばれた金髪の彼は無遠慮に私を眺め回してきた。
男子生徒からそういう視線を送られることも慣れていたので、私が動じることはなかった。



話を聞くに、2人共課題研究のテーマが決まっていないらしかった。
私も高校生の頃にやったが、何について調べたか覚えていない。多分本に関することだと思うけれど。
それについて私が手伝ってやれることはない。自由に図書室を見て回ればいい、のに。


双子は私から目を離さなかった。





「……何か?」



首を傾げながら聞く。早く本の続きが読みたかった。
金髪の方が、カウンターに肘を乗せながら「いや、なぁ」と不敵な笑みを浮かべる。
この人とは関わりたくない、と直感的に思った。





「俺、先生に惚れてしもたかもしれんわ」
「……ちょお待てや、侑」



彼の言葉に返事をしたのは、私じゃなく茶髪の方の彼だった。

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作者名:凛久 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/2594um/  
作成日時:2019年2月14日 17時

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