双子と司書さん【ハイキュー】 (ページ12)

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遠いページ12

結果から言うと、確かにすごかった。
彼ら＿＿＿主に侑くんだが＿＿＿は口だけではなかったらしい。
アランくんのスパイクは本当に強烈だったし、治くんはコートをよく見ていて、思わず「上手い」と言ってしまうようなプレーが多かったし、スパイクはもちろんレシーブやトスも上手だった。

侑くんは。
素人目にもわかるくらい、上手かった。
セットが美しいのはもちろんだけど、サーブもすごく強烈で、何本もサービスエースを取っていて。普段私と接している時とは別人のような彼の姿に見惚れてしまったのが悔しかった。

これじゃあ彼の思うツボだ。
侑くんは二重人格なのでは？なんて考えたけれど、魅入ってしまったのは事実だし、今更何を考えても仕方ないけれど。

(……すごい人気だったな……)

圧倒されたのはプレーだけではない。応援もすごかった。吹奏楽部が強いのは知っていたが、あそこまでとは思わなかった。

それに、なんというか。
よく調教されている、という感想を抱いた。言い方が悪いとは思うが、これ以外なんと表せばいいのかもわからない。

すごいのは吹奏楽だけじゃない。
何より耳障りだったのは、あの黄色い歓声だ。
確かに双子は顔が良いし、プレーも上手いし、それ以外の選手たちもかっこよかったし、女の子たちが集まるのも無理はないのかもしれないけれど。

いや、違う。わかっている。
私の頭が固いだけだ。

ただ、やっぱりああいうのは、選手たちに失礼なんじゃないかと考えてしまう。
まあ、それは私にも言えるのだけど。

「だーれだ」

ぼーっと突っ立っていたところ、急に視界を奪われ動揺した。
けれど、こんなことをするのは彼だけだ。

「侑くん」
「せーかい！なんでわかったん？」

答えると、ぱっと視界が明るくなった。
振り返ると、子どものような笑顔が目に入る。

やっぱり別人だ、なんて。

「先生ちゃんと見とった？どうやった？」
「素人なので、月並みなことしか言えませんが……上手でした」

治くんの言いたいことがわかった気がする、と心の中で付け足した。侑くんはこの話を知らないので、言っても意味は無い。
せやろー、なんて嬉しそうに言う彼に、コートの中にいた時の面影はまるでなかった。そういうものなのだろうか、スポーツをしない私にはやはりわからない。

しばらく話をしたけれど、侑くんは先輩らしき背の高い人に呼ばれて名残惜しそうにその場を去って行った。

最後まで、治くんは現れなかった。