幼馴染と住宅街 (ページ30)

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『ノルカ』と『ソルカ』★ ページ30

「……僕ら、異世界から、この世界にトリップしてきたんです。トリップっていうのは、その、事故とかのきっかけで時空が歪んじゃうって飛ばされるっていうか……だからつまり、僕らもともと、この世界の人じゃないんです」

若干しどろもどろになりながら、ナナはちゃんと説明した。

「…君たちのことは、こっちの世界ではみんな知ってるんです。……あまり細かいことは気にしないで欲しいけど」

「みんな知ってる」っていうのは、もちろん話をややこしくしないための嘘だろう。

流石、よく頭が働くなぁ………

…って、今は感心してる場合じゃないや。

2人は、完全に納得はしていないみたいだったけど、ふうん、とうなずいた。

「……まぁ、そうだよね。人間が、僕らの存在を知ってる訳がない………か」

黒髪の子は、自分に言い聞かせるようにつぶやくと、顔を上げた。

「……まぁいいや、自己紹介するよ。僕はソルカ…こっちが双子の兄の」

「ノルカ様っしょ！！！」

ソルカって名前の弟の言葉を遮って、元気のいい赤髪の子が自己紹介をする。

ソルカは、ノルカって子を、迷惑そうに一瞥し、短いため息をついた。

「……まぁとにかく、君たちに悪気がないのはわかったよ。…行こノルカ」

ソルカは、それから素早く踵を返し、ふわりと飛び立った。

ノルカは、あたしたちの方を振り返って、一瞬目を伏せた。

それから、ぴゅんっと飛んでいってしまった。

数十秒後、夜空に、ナナの絶叫が響いた。

「2人引き止めるの忘れてたぁぁあぁあああぁ！！！！！！！！！！！！！！」