隣席のお客★ ページ27
サナsibe
あたしたちは席につき、あたしは早速メニューを手に取る。
ナナは、なぜかあたしを恨めしそうに睨んでいる。
…あれ、あたしサナが嫌がるようなこと、したっけ?
記憶を辿ってみるけど、思い当たる節がない。
「……あ!!」
そこであたしは気がついた。
中華が食べたいと言ったのはナナだ。
なのに、1つしかないメニューをあたしが取っちゃったから、お腹がペコペコのナナは、早く選んでって思ってるんだ。
ふふ、そんなことも素直に言えないの、にゃんこみたいで可愛いなぁ。
あたしは、お姉ちゃんとしてのふるまいで、ナナに、1番最初に目にとまった、美味しそうな麻婆豆腐を指差し、
「ほらナナ、これすっっっごく美味しそうだよ!!」
……と言いかけたのを、ナナは大慌てであたしの口を手で塞ぎ、遮ってきた。
「お願いだから静かにして…!!!」
ナナは、小さい子どもに言い聞かせるみたいに言ってきた。
「……ふぁんふぇ?」
「なんで?」と言ったつもりだけど、口を塞がれているから、変な発音になった。
するとナナは、今度はもう片方の手の人差し指を唇に当て、シーッ、と静かにするよう訴えてきた。
と、その時あたしは、強い視線を隣から感じた。
見ると、隣の席に座っている、赤髪と黒髪のかわいい美少年君が、目をまんまるにして、でも警戒した目つきで、あたしたちを見ていた。
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作者名:愛と勇気、鰤野てりやき | 作者ホームページ:http:/
作成日時:2019年2月17日 20時