伊之助さんが涙を流した日 ページ46
伊之助side
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目ェ開けろよ、馬鹿野郎
「 A… 」
蝶屋敷のベッドの横で名前を呼ぶ
あの日からもう三日が経った
Aはあれから目を覚まさねぇ。
「 スキ、って
それだけ言って目ェ覚まさねぇとか 」
それだけ言い残して意識失うとか、ふざけんなよ
俺だってお前に言いてぇのに。
お前のスキに、答えさせろよ
「 クソ… 」
包帯で巻かれたそいつの体を見て呟く
命に別状はないから安心しろってしのぶは言ってたけど
俺は今も、こいつの傍から離れない
「 起きろよA 」
お前がそんなんだと、胸のこの辺が痛ぇんだ
だから早く起きろよ
早く起きて、この痛み、治せ
「 …すきだ 」
殆ど無意識、
俺はそいつの顔に自分の顔を近づける
「 お前がすきだぜ、俺は 」
この行動に何の意味があんだ
俺には分からねぇ
けど、俺の体が勝手に動いた
俺はそいつの唇に、軽く、
自分の唇を触れさせた
「 …っ、」
あったけぇ
唇から伝わる体温が、あったけェ
こいつが生きてるんだと実感して
安心する
『 …っ
い、のすけ、さん 』
「 ッ!! 」
触れ合った唇を離した時、ゆっくりとそいつが目を開けた
「 お、お前…ッ A!!! 」
『 いのすけ、さん 』
まだふわふわした様子のそいつが俺にへにゃっとした笑顔を向ける
その顔にきゅんとキたとか、安心したとか、何か分かんねぇ
色んな感情がグワッときて、俺はそいつを自分の腕ン中に引き寄せる
『 わ、伊之助さッ 』
「 お前ッ!! 目ェ覚ますの遅せェんだよッ
クソ、俺がどんだけ…っ 」
『 し、心配かけましたか 』
まただ、クソ
俺の目からあったけぇモンが溢れてきやがる
そんな俺の背中にゆっくり手を回したA
『 ずっとここに、居てくれたんですか 』
「 …だったら悪ィかよ 」
『 ううん、心配かけてごめんなさい
でも、嬉しいです 』
そいつの声が震えて聞こえたから思わずバッと体を離して顔を見る
「 お前、泣いてんじゃねぇよ 」
『 ふふ、伊之助さんこそ 』
「 俺は泣いてねぇ!! 」
『 じゃあ目から零れるこれは何ですか 』
涙流しながら柔らかく笑ったそいつが俺の頬に触れる
『 救ってくれて、ありがとう 』
「 …俺が負けると思ったのかよ 」
『 思ってませんよ、ずっと信じてた 』
その言葉にまた、俺の視界が揺れる
「 オイ、A 」
『 ? 』
よく聞けよ、
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しゃび(プロフ) - 羅門茶.さん» コメントありがとうございます。一気読みしていただけて嬉しいです!伊之助が大好きなのでその気持ちを爆発させて書いた小説なので個人的にも思い入れの深い作品になっています。嬉しいお言葉もありがとうございます! (2020年6月1日 22時) (レス) id: f924ce756f (このIDを非表示/違反報告)
羅門茶.(プロフ) - 素晴らしい作品で一気読みしてしまいました(T ^ T)この作品大好きです、、 (2020年5月23日 15時) (レス) id: efacd8ff92 (このIDを非表示/違反報告)
しゃび(プロフ) - Znさん» コメントありがとうございます。恋愛に対して不器用で可愛らしい伊之助を書きたかったのでそう言って頂けて嬉しいです...!嬉しいお言葉ばかりありがとうございます。他の作品も拙いものばかりですが少しでも楽しんで頂けたら幸いです。 (2020年3月10日 10時) (レス) id: f924ce756f (このIDを非表示/違反報告)
Zn(プロフ) - 本当に素晴らしい作品に出会いました!!もう毎話毎話伊之助の可愛さに震えてました、、他の小説も読んで見ようと思います。 (2020年3月8日 21時) (レス) id: 5d97af5082 (このIDを非表示/違反報告)
しゃび(プロフ) - 饅頭さん» コメントありがとうございます。神だなんて勿体ないお言葉ありがとうございます...!思い出深い作品なのでそう言っていただけてとても嬉しく思います。完結してる作品ですが、暇な時にでも読み返して貰えたら幸いです! (2020年3月2日 11時) (レス) id: f924ce756f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゃび | 作成日時:2020年2月7日 18時