【 鬼滅の刃 】伊之助さんとそんな日々【 嘴平伊之助 】

伊之助さんへの気持ちに気づいた日 ページ29

『 し、しのぶさん 』

胡 ｢ あら、元気がないですね
どうしたんですか? ｣



何をするにもどこに行っても
常に頭の中には伊之助さんがいて

事ある毎に伊之助さんの事ばかり考えてしまう

ドキドキするし、モヤモヤするし、自分がまるで自分ではないような



『 私、病気なんでしょうか… 』

胡 ｢ …え? ｣



好きな人、とか恋だとか
そんな感情があるだけでこんなに苦しいのか?

最早これは病気なのでは、なんて思い始める始末



胡 ｢ A、貴女って結構鈍感なのですね ｣

『 へ…? 』

胡 ｢ 気づいてないんですか? 自分の気持ちに ｣

『 自分の、気持ち 』



何となく、ずっと目を逸らしてきた自分の気持ち
伊之助さんに対する気持ち

だってこんな感情、初めてだから

誰か一人のことを考えて胸が締め付けられるなんて
その締め付けが嫌な息苦しさじゃないなんて

知らなかったから



『 胸が、締め付けられるんです 』

胡 ｢ … ｣

『 昔、家族を全員、鬼のせいで失いました 』

胡 ｢ ! ｣



私にとって辛い過去、永遠に忘れないあの時の苦しみ

胸が締め付けられたんだ
息が出来ないほどに、苦しくて苦しくて、まるで海の中で溺れているよう

いい事なんて何一つないんだと、その時に思った



『 でも、胸の苦しみにも種類があるんですね 』



苦しい事ばかりじゃないと知った
この感情を持ってから

心地の良い胸の締めつけ、彼を想う気持ち

好き、という感情
恋、というもの



胡 ｢ 恋というものは、人を変えるものですね ｣

『 え? 』

胡 ｢ A、昔よりも笑顔が増えました ｣

『 そ、そうですか、ね 』

胡 ｢ 今の方が、とても可愛らしいですよ ｣



そう言ってニコッと笑ったしのぶさん



胡 ｢ その気持ちを、大切にね ｣

『 ! 』

胡 ｢ 応援していますよ、A ｣



目を逸らし続けた感情に、今やっと目線を合わせた

恋か、そうか
恋してるんだ、私

伊之助さんに、恋

伊之助さんが、好き



｢ オイしのぶ! 炭治郎がどこにもいねェ!! ｣

胡 ｢ あら伊之助くん ｣

『 !!!?? いのす…ッ!?
あ、ちょ、わ、私ッ し、失礼します!! 』

｢ !?
何だアイツ、何であんな急いでんだ? ｣

胡 ｢ あら、ふふふ
素直になる日はまだ先のようですね ｣

｢ ? ｣

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