【 鬼滅の刃 】かまぼこ隊と恋する短編集 弐

チョコレートより 【 炭治郎 】 ページ39

『 ど、どうしよう 』



本日、二月十四日

バレンタインという、好きな人に女子からチョコレートを渡す日である



そんな日に私、やらかしまして。




『 失敗してしまった… 』



恋人である炭治郎に手作りのチョコレートを贈りたくて朝からいそいそと作っていたのに

どこで間違えたか、見栄えも悪いし味も悪い
最悪な出来だ




『 これは流石にあげれない… 』



作り直すにしても、時間かかるしそれに材料がもう無いのだ

はぁ、どうしよう、
でもこんなのあげるわけにもいかないからなあ




失敗したチョコレートを見つめて一人溜息をつく





｢ あ、A!
どうしたんだ? 何か甘い匂いがする ｣


『 た、たんじろ…っ 』




スンスンと匂いを辿ったのか、炭治郎が来た

待って今は…!!




｢ !? これは一体…!? ｣


『 み、見ないで炭治郎!! 』




不恰好なそのチョコレートを見て驚く炭治郎を慌ててその場から遠ざける




『 チョコ、作ってたの 』


｢ ちょこ? ｣


『 今日、バレンタインでしょ
炭治郎にあげたくて、』



でも失敗しちゃって。

そう改めて口に出すと、悔しさとか悲しさが込み上げて少し、泣きそうになる




『 ごめん、だから今年はあげられなくて 』


｢ 失敗したって… ｣




チョコ貰えないくらいで怒る炭治郎じゃないけど、それでもやっぱり毎年あげてたから

残念に思うかな、呆れられちゃったかな





｢ A、怪我はしなかったか? ｣


『 へ、…? けが? 』


｢ チョコ、作ってくれてたんだろ
でも失敗したって、その時に怪我とか ｣




何なの、炭治郎

怪我の心配なんて





『 う、うぅ、たんじろお 』


｢ ど、どうしたんだ!?
泣かないでくれ、どこか痛むのか!? ｣




その優しさが心に染みて、堪えてた涙が溢れ出す





『 どこも痛くないし怪我してないぃ… 』


｢ そ、それならよかった
じゃあ何故泣いてるんだ ｣




優しいその手で私の涙を拭ってくれる炭治郎





『 炭治郎に、せっかく作ったのに
失敗しちゃって渡せなくて 』


｢ A… ｣




ごめんね
泣きながら謝れば、困ったように笑う炭治郎




｢ チョコレート貰えないからって何ともないよ ｣


『 で、でも 』


｢ ここにAが
俺の傍にAがいてくれれば、俺はそれで充分なんだ ｣





チョコレートよりも大切なもの
そう言って、私の唇に優しく炭治郎の唇が触れる





｢ チョコレートよりいいもの、貰った ｣


『 なに、それ 』

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