【 鬼滅の刃 】かまぼこ隊と恋する短編集

目を覚まして 【 伊之助 】 ページ33

伊之助side
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ああクソ。




目を覚まさねぇ、目を覚まさねぇ目を覚まさねェ!!!







｢ 起きろよ、このアホ ｣





蝶屋敷のベッドの上で眠っているAの傍から離れない俺



こいつは意識不明のままで。






｢ …あんな雑魚鬼にやられてんじゃねぇよ ｣





…いや、雑魚なんかじゃねえ。

"元" ではあるが、あの鬼は下弦の鬼の一人だった





その鬼の血鬼術を食らいそうになった俺を庇ったこいつが、意識不明になってもう三週間くらいが経つ






｢ お前に守られなくても平気なんだよ
俺様を誰だと思ってんだ ｣





伊之助様だぞ

そんな風に話しかけても返事はない






あの時、俺も相当限界だった
もしこいつが庇ってくれてなきゃ、死んでたかもしれねぇくらいには。






｢ ……これやるから、早く目ェ開けろ ｣





どんぐりを枕元に置きながら、俺は悔しくて唇を噛み締める



俺のが強えし、俺が守ってやるとか思ってたくせに
逆に守られた自分に苛立つし

何より、こいつが危険な目に遭って
こいつを守れなかった自分がやるせねぇ






｢ …馬鹿野郎 ｣






馬鹿は俺か、

俺様は強えなんて思ってたけど、まだまだ弱えよクソ





今日も目を覚まさねぇか、と諦めてその場を離れようと席を立つ






『 …、誰が、馬鹿野郎だって? 』


｢ ッ!!!! ｣







ずっと、

ずっと聞きたかった声だ






バッと振り返れば、やっと目を開いて顔を俺に向けるそいつの姿







｢ お、おま…
Aッ!!!!!! ｣


『 わ、い、伊之助 』






そいつが体を起こすより先に俺が飛びつけば
苦しいよ馬鹿、なんて言いながらも俺の背中に手を回す





『 心配かけてごめんね 』


｢ 心配なんてしてねーよ!!! ｣





強がった言葉と反対に、俺の目からはあったけぇ水が零れてきやがる





｢ も、もう二度と!
俺を守ったりすんな!! ｣


『 うん、』


｢ そんでもう二度と俺をこんな気持ちにすんじゃねぇ!! ｣


『 うん 』





俺のめちゃくちゃで自分本位な言葉に、優しく頷くA





ホワホワとかそんなん通り越してる安堵感が溢れて

目から流れるモンが止まんねぇ






『 ずっと傍にいてくれたの? 』


｢ ッ、い、今来たんだよ!! ｣


『 えー、嘘だ 』






そう言うそいつに何だかムッとして、ぎゅっと抱き締める力を強くする







｢ …
守れなくて、ゴメンネ ｣


『 !
ふふ、このどんぐりで許してあげる 』

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