【 鬼滅の刃 】かまぼこ隊と恋する短編集

恋文 【 伊之助 】 ページ18

｢ これなんて書いてあんだ! ｣



読め! と、伊之助が持ってきた紙が私の目の前に差し出された


丁寧に折りたたまれた白い紙




『 どしたのこれ 』


｢ さっき知らねえ女に渡された
俺ァ読み書きができねーのによ!! ｣






知らねえ女とは。



まぁここは鬼殺隊の人しかいない屋敷だから
恐らく隊士の中の誰かだとは思うけど





『 えっと、嘴平伊之助さんへ 』



読めと言われたから仕方ない

手紙を広げて伊之助に読んであげようとしたけど



待てよ





『 私は以前から伊之助さんのことを… 』


｢ ?
オイ、どうした? ｣





先の文章を読んで察した


これ、
伊之助宛の恋文では





好きだなんだと甘ったるい文章がつらつらと書かれていて

何となく、読むのに抵抗があって口篭る





『 … 』


｢ おい、A!
なんて書いてあんだよ、お前も読めねえのか? ｣






黙り込んだ私にそう問掛ける伊之助




いや、仮にも私は伊之助とは恋仲であって
そんな相手に他人からの恋文を読み聞かせるって

なにこれ、どういう状況







『 これ恋文、だよ多分 』


｢ は、ンだそれ
コイブミ?? ｣




案の定首を傾げる伊之助に丁寧に説明する





『 この手紙は恋文って言って
伊之助のことが好きってことを書いてくれてるの 』


｢ … ｣


『 多分、手紙渡してきた女の人は
伊之助の事が好きなんだよ 』






あれ、伝わらなかったかな


私の言葉を聞いた途端、動かなくなる伊之助





『 あ、ちょっ 』





と思っていれば
私が持っていたその手紙をひょいっと取り上げて

ビリッと破り始めた






『 は!?
ちょっと何してんの!! 』


｢ うるせえ!
んな事書いてあんならいらねーこんなモンッ ｣





無慈悲なことに、その恋文をビリビリに破いてしまった伊之助


まぁ常に本能のままに生きてる人だから仕方ないっちゃ仕方ないけど




『 何も破るなんて… 』


｢ だっていらねーもん ｣


『 でもせめて読んでからでも… 』


｢ 読めねえもん ｣





バラバラになった恋文だったものを見つめ
勇気を出して渡したであろうその人には申し訳ないと心の中で謝った





｢ だってそれ、好きとかなんとか書いてあったんだろ ｣


『 うん 』


｢ じゃーいらねえよ
だって俺にはお前がいんだろ ｣





そのド直球な言葉に思わずドキッと胸が鳴る






｢ お前も、そのコイブミとか言うやつ貰うなよな ｣


『 う、うん 』




ああもう、こいつは本当に。

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