【 おそ松さん 】むつごと恋する短編集

酒の所為 【 おそ松 】 ページ17

※付き合っていません
おそ松side
_______________________________________

『 うっ… ぐすっ… ぅぐっ… 』






いつもの居酒屋で呑んでいる俺の隣には
ついさっき失恋したばかりの幼馴染






｢ そんなに泣くなってぇ
ほら、お兄ちゃんが慰めてやるから ｣


『 ぐすっ… ぅっ… 』







いつもの調子で話してみても、泣き止みそうにない





どうすっかな
こいつの泣き顔見たくねぇんだよな





そんなことをぐるぐる頭の中で考えても、何が最善策なのか答えは出ないまま
この状況をごまかすようにビールを一気に飲む








『 ………好き、だったんだけどなぁ 』







涙声で急に発せられたその言葉



好き という言葉に妙に反応してしまう








『 遊びだったとか、信じられない… 』


｢ … ｣








恋愛なんてしたことの無い俺が何を言えるわけでもなく、ただ黙って話を聞く








『 それでも、今も好きなんだからどうしようもない 』








自嘲気味に笑いながら、それでも目にはまだ涙を浮かべている



Aを裏切ったそいつのせいで、Aの頭の中がそいつでいっぱいになっていることに無性に腹が立つ






｢ なあ ｣


『 …なに、おそまつ 』







最初より落ち着きを取り戻したのか、ゆっくりとした口調で返事をする







｢ 俺 ｣


『 ん? 』


｢ 俺なら、Aのこと裏切らないよ ｣


『 …え? 』









何言ってんだ
今それを言っても困らせるだけだ


分かってるのに止まってくれない俺の口








｢ だから、俺にすればいいじゃんって
そんなやつより俺の方が、 ｣







そこまで言って、はっと我に返る







｢ あ、いや、ごめん
変なこと、言った ｣


『 へ、変じゃない
変じゃないよ、全然 』








酒のせいか、顔が赤くなっているA







『 あの、その、あ、ありがとう
今はまだ難しいけど、いつか、おそ松のこと好きになれたらいいなって思う 』


｢ は… ｣









なにそれ









そんなん







｢ ぜってー好きにさせてやる
おそ松くんじゃなきゃだめ〜って言わせてやる! ｣


『 あははっ
うん、そうだね、そうなれたらいいな 』









裏切ったそんな男を忘れるくらい、俺がいい男になってやるなんて

柄にもないことを考えたのは

多分、酒のせい

初めて 【 一松 】→←人違い 【 カラ松 】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す