【 おそ松さん 】むつごと恋する短編集

名前 【 カラ松 】 ページ12

カラ松side
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｢ なぁ、ハニー? ｣






俺には不満がある






『 何、松野くん 』






これだ。






｢ あのな、ちょっと言いたいことがあるんだが ｣


『 どしたの、改まって 』


｢ どうしたもこうしたもない!!
俺はハニーに! 名前で呼んでもらえたことがない!! ｣


『 は? 』




いつも呼んでんじゃん、と心底くだらなさそうにして
トド松のようにスマホをいじるハニー




｢ よく考えるんだ
ハニーが呼んでいるのは、俺の名前であって俺の名前じゃない!! ｣


『 大丈夫か? 』


｢ だからっ
俺の名前はカラ松だ!
ハニーがいつも呼ぶのは" 松野くん " だろう!? ｣


『 ああ、そゆこと 』


｢ えっ、それだけ? ｣





この流れなら名前を呼んでくれてもいいじゃないかハニー!!


そんな俺の嘆きの声は届かず、ハニーの意識は完全にスマホに取られている





だめか、と諦めながら近くに置いてあるペットボトルの水を飲む





『 カラ松くん 』


｢ ﾝブッッッ ｣


『 うわ汚い 』







不意打ちの出来事に思わず口に含んでいた水を盛大にぶちまけた俺に、呆れながらもタオルで拭いてくれるハニー





今、俺の聞き間違いでなければ
ハニーはおそらく俺の…






｢ い、今なんて… ｣


『 だから汚いって 』


｢ そっちじゃない! その前っ ｣


『 ああ
カラ松くんって呼んだの 』





これは…
思っていた以上に嬉しい




｢ やっ、やっと! 呼んでくれたなハニー!! ｣


『 じゃあ私からもひとつ 』


｢ なんだハニー
この俺になんでも言ってくれ ｣


『 私のことも名前で呼んでよ 』


｢ え? 俺はいつも呼んで… ｣






るぞ、と言おうとしたところでピタリ。



そういえば俺、ハニーと呼んでばかりで名前自体は呼んでいないのでは…





｢ あ、えと、あー… ｣





いざ名前で呼ぶとなると、恥ずかしさが込み上げる




『 松野くん 』


｢ ノーー!! カラ松と呼んでくれ! ｣


『 じゃあ、はい。
私も名前で呼ばれたい 』





あ、ダメだ、可愛い





｢ あー… A ｣


『 ふふ、カラ松くん 』






俺が名前を呼ぶと、嬉しそうな顔をしながら俺の名前を呼んでくる




「 その顔は反則だぜ…ハニー ｣


『 ハニーじゃなくて 』


｢ 〜〜〜っ
A!! ｣





これじゃ完全に俺の負けじゃないか、なんて思った俺は

勝ち誇ったように、にまにまこちらを見てくるAの唇に自分の唇を押し当てた

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