【d!】有能秘書奮闘日記 (ページ12)

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長い演技ページ12

鬱は少し考えた後、答えた

ut「せやなぁ」

へらりと笑う鬱を殴りたくなった
なんで惑わされてるの、あたし

ut「…そんな悲しい顔せんとって」

あたしの頭を撫でて眉を下げた
煙草の香りが鼻をくすぐる
嫌い、やっぱり嫌い

『からかうのは好きだけど、からかわれるのは嫌いなの』

ut「からかってへんよ？」

目を細めてあたしを見る青い瞳

ut「Aが俺を見てくれへんから」

『複数の女性と関係を持つような人に恋をするはずがないもの』

ut「Aが付き合ってくれるんやったら今すぐにでも全員切るんやけどね」

『そんな日は来ない』

俯いて呟けば、鬱はあたしから離れた
遠くを見ては息を吐く

ut「ま、そうやろなぁ」

本当は知ってる
幹部の中でも1番と言っていい程優しくて
情があって
本当の恋をしたことがない悲しい人

ut「Aの初恋は誰になるやろな」

『あなたにも同じことが言えるわね』

ut「それ皮肉？」

『え？』

ut「俺の気持ちを知っとう上で言ってるんよね？」

あたしは知らない
幹部のみんながあたしをどんな目で見てるか
マークをつけたグルッペンとチーノも、嫉妬するショッピも相棒のゾムも、幼馴染のひとらんでさえも
あたしをどう思ってるかなんて

『もう寝たいから出てって』

鬱はあたしを見て3秒ほど止まった
ソファから立ち上がるとペットボトルを片手にドアへ向かった

ut「おやすみ、A。また明日」

バタンと閉まるドアをただ見つめていた
いつまで、気付いてないふりができるだろう