【wrwrd!】とある一国の非日常【長編小説】 (ページ9)

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目の前にいる女…仮名を「クロ」と言ったかな。そいつはさっきから"ある意味"不審な行動をしているな。振舞いについて触れても、否定も肯定もせずになんとなくで受け流した…。

これは少し面白い奴を捕まえたかもしれんな。

「………さて、本題にでも入るとするかな」

「…私が差し出すと言った情報の事ですね」

「そうだな。"誰も知らないような情報"と言うものが気になるものでな」

「そうですね…例えば、私のいた国では"悪魔崇拝集団"がいるのはご存知ですか？」

「小耳には挟んだことはあるが詳しくは知らんな。それで？」

「その集団は数年前から研究室を建てたらしく……今回蔓延しているウィルスもそれが原因かと思われます」

「……ほう。だがそれぐらいなら知る人も居るんじゃないか？」

「いいえ？その集団自体、視認されなかったので研究室の存在すら…」

ふむ。それは何とも興味深いが…となると一つ疑問が浮かんでしまう。あぁ、如何しても辻褄が合わなくなる事が。「本人がその集団に所属でもしていない限り知り得ない」はずだ。

「何故お前はその情報を知っているんだ？」

そう聞くと、そいつは俺の眼をじっと見つめた。淀んだ、黒い目で。
そして小さな声で「家族が、所属していたからです」と零した。その淀んだ眼からは涙が溢れそうになっていた。

「スマン。悪い事を聞いたな。………部屋は用意してある。シャオロンが扉前にいるから案内してもらえ」

「…ん。……ねぇ、貴方の名前は？」

「グルッペン・なんちゃら、だ。お前は？」

「……こちらからは言わない。貴方たちは知ってるから」

バタン、と扉の閉まる音がした。会議室には俺一人しか残っていない。溜息を一つ零し、窓から空を仰ぐ。先程の女の眼のように淀んだ雲。俺はある仮説を立てた。きっとそれは合っているだろう。

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きっと彼女は隣国の王女・Aだ。