in the summer３【J.M】 (ページ7)

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「乾杯」
「乾杯！」
グラスを合わせて揃って口をつける。柔らかくきめ細かい泡が喉を通り過ぎていくのが気持ち良くて、ビールの苦みがまた美味しく感じられてAは嬉しそうだ。

「おっいしい‥！！」

力強く噛み締める様に感想を述べる彼女に、松本は苦笑する。
「そんなに？まぁ旨いけどさ」
その言葉にAがピッと指を一本立てて、左右に揺らした。
爪の先に淡い菫色のネイルが映えている。

「解ってないなぁ潤、日本の生ビールひっさしぶりなのよ？」
「あーそっか、そう言えばそうだな」
「誰かさんが一人で行くなって言うし」
「そりゃな。既に超可愛いんだけど」
「えっ、もう酔ってるの？」
思いもよらない甘いセリフにAは目を見開いた。その表情はやっぱりいつもより幼くなるから、松本は余計に可愛いなぁと感じてしまう。
Aは大人びたところがあるけれど、松本よりも五歳も年下なのだと、こういう時に実感する。

「俺はずーっとAに酔ってるよ、ハワイに居た時から」

「‥‥そう言えばそんなこと言ってたね」

照れたように微笑む彼女の頬に手を添えて、松本が顔を少し斜めに傾ける。
キスの合図だと気が付いてAも瞳を閉じた。
お互いの呼吸を感じるほど近づいて、愛しい唇がすぐそこと言うとき。

「お待ちぃ！ニノさんだよーってきゃあ！！はれんち！」

そう言って、かわいらしく両手で顔を覆った二宮が個室の扉の前に立っていた。
その後ろから「タイミング！タイミングがさぁ！」と慌てた様子の男も一人。

「こんばんは、二宮さん」

「凄いね小宮山さんフッツウの反応。こんばんは」

「ええと、櫻井さんですよね、初めまして小宮山Aです」

「ニノ、翔さん、いらっしゃい」

「すげぇよ、おＪも気にしてねぇのね。恥じらいのないカップルだこと」

笑いながら二宮はAの正面の席に腰かけた。
その隣で、櫻井が「こんばんは小宮山さん、嵐の櫻井です。松本がお世話になっています」とさわやかに挨拶をしている。

「お世話になってるのは私の方です。櫻井さんに会えて嬉しいです」

「ほんとはリーダーと相葉さんも来れたら良かったんだけどね」

何頼む？と二人にメニューを手渡しながら松本が残念がる。
今夜、都合がつくメンバーとAを引き合わせたのは松本だ。
急ぐつもりはなかったけれど、どうせなら会ってほしかったのだ。
松本が大切だと思う人たち、お互いに。