５３ ページ5
「この髪色に合うかなぁ？んー、ピアス何にしよ。うーーーん」
姿見を前にあーだこーだと悩んでいるAの耳にチャイムの音。
モニターを見ればそこには待ち焦がれていた恋人の姿。
「潤、おかえりなさい」
『ただいま、開けてー』
エントランスを解錠し、次には玄関チャイムを鳴らした恋人を迎え入れる。
嬉しそうに入ってきた松本は、しかしAの格好に動きを止めた。
「ちょ、おま、なんつー格好で！」
「えっ？」
「バスローブで出迎えとか誘ってる？」
「えっ、ちょっと、潤っ？」
スッと抱き寄せて、触れるだけのキス。
見つめてくる松本の二重のきれいな黒い瞳にうっすら見える疲れと欲望にAの背中をゾクゾクと快感の兆しが走り抜ける。
「やだ、‥っん、ね、出掛けるんでしょ？」
「ちょっと遅くなっても大丈夫だから‥‥Aを充電してもイイ？」
バスローブの裾を捲ってAの太ももを撫でる右手と、彼女の首筋を行き来する唇。
松本の呼吸が耳元に響いて、それだけでAの足の力抜ける。
「っあ、ん‥」
「イイ匂い‥シャワー浴びたのにごめんな」
「え、なんで」
「また逆戻りだから」
「そん、なっ‥‥んんっ」
はむっと。まるでAを食べてしまうかのようなキス。
松本が与えてくる刺激の激しさに酔いしれながら、時間を心配しつつ、結局Aに拒否する気は起きない。
こうやって思うままに触れ合える時間がいつまでも沢山あるとは思えなかったし、Aの仕事が始まる9月からはお互い不規則の極みになるのは火を見るよりも明らかなのだから。
「バスローブめっちゃ脱がせやすい」
「羽織ってるだけだしね」
「ソファと風呂と寝室どこがいい？」
「んー、じゃあベッドでお願いします」
「仰せのままに」
肩に担ぐようにAを抱き上げると、松本は意気揚々と寝室に足を向ける。
ドアが閉まってしまえばそこはもう二人だけの世界。
松本からの愛情を思いっきり注がれて、Aは息も絶え絶えに懇願するしかなかった。
「潤お願いだから、見るところにキスマークつけないで‥‥」
二人でキモチイイことをしたベッドの上でAが項垂れている。
「見せとけば良いんじゃない？」
「嫌」
「俺のもんっていう」
「幾つなのよあなた」
「‥‥」
鋭いツッコミに松本は下唇を突き出して不服そうだ。
まさに幾つなのだと言いたくなる態度にAはため息を吐く。
「あの黒のワンピース着たかったのに」
「え」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 565人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：お塩
| 作成日時：2021年6月28日 2時
