in the summer３【J.M】 (ページ2)

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「明日は実家行くんだっけ」
「うん。父のところにお見舞いに行って、そこから実家行って片付け手伝ってくる」
「泊まってくる？」
「んー潤は明日どうするの？」
今夜も来ると言っていたけれど、明日は？
Aが首を傾げる。その仕草が可愛らしくて、ついついキスをしてしまう自分を松本は笑う。

「潤？」

「Aが実家に泊まるならおとなしく家に帰るよ」

「‥‥じゃあ帰ってこようかな」

「俺を自宅に帰さない気だな？」

ニヤリと笑う格好いい顔に、本当に濃いなぁとAは感心してしまう。
月末には40歳になるとは思えないチャーミングな雰囲気に、これは色男の絶対条件よねとAは内心で納得だ。
イケメンなのにどこか愛嬌がある、それは全世界共通のモテる男の要素だから。

「A、何考えてんの」
「いや潤イケメンだなって思ってた」
「脈絡ねぇな」
「ふふっ。実家に泊まるかはわかんない、明日決めて連絡するね」
「オッケ」
「あ、コーヒーできたね」

離れがたくてくっついたまま、それこそチークダンスを踊るように揺れていた松本から離れて、Aはキッチンへ向かう。
その後をひよこみたいについて歩く松本の気配に笑みが零れてしまう。

「潤、もぉ甘えん坊！」
「離れたくねぇもん、マジで」
「もん、とか。可愛いから良いけど」
「おっさんに可愛いって言うか？」
「事実は事実よ。ほんっとたまんない魅力だと思う」

手渡したコーヒーを飲みながら見上げた顔は困惑交じり。

「‥俺はAがそう思ってくれてるだけで良いけど」

零された言葉には本音が見えて胸がキュンとする。
この歳になって、しかも出会いが色っぽかったこの恋が、こんなに甘酸っぱい気持ちにさせてくれるなんて。

「あ、潤そうだ。私の親に恋人がいるってことは言っても良いの？潤ってことは伏せるけど」
「良いよ。むしろ言ってくれんの嬉しい」
「嬉しい？」
「だって俺の立場が立場だから。秘密の恋愛ばっかだよ」
「ふぅん‥‥」
「あ、妬いた？」
「妬いてない。‥‥でも、うん、恋人がいるって言って良いの私も嬉しい」

ふんわりと笑って胸元に寄り添ってくるAを抱きしめる。
カウンターにコーヒーを置いて、両腕でしっかりと。

「A、好きだよ」

「私も潤が好き‥‥」

そうして重なった唇は、最初は触れ合うだけだった。
けれど、何度も交わした果ての快感を知っているからこそ、すぐに深くなっていく。
唇がジンジンと痛むまで、二人は口づけを繰り返した。