in the summer３【J.M】 (ページ1)

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あの夏、あの島で、出会った二人が

再会した東の最果ての島の、真夏

存在を確かめ合うように求め合い

もう一度結ばれた、運命の恋

無色だった互いのことを

色付けて識っていく、愛しい日々

【in the summer 3】

「ほんっとーに大丈夫なんだな？」

「くどい。潤の顔よりくどい。大丈夫よ熱下がったし。今日は一日家に居ます」

顔の横に両手を挙げて手のひらを見せたAに、松本は眉を寄せる。

「おい、俺の顔よりくどいってどういう意味だ」

それには答えず、Aはコーヒーミルのスイッチを入れる。
途端ガガガガガッと音が鳴って、松本はさらに眉を寄せ、しかめっ面のまま彼女に近づいた。

「どうする、今日夜出るか？」
「魅力的なお誘いだけど、明日実家に行くし病み上がりだからやめとく」
「今夜も来て良い？」
「うん、帰っておいでよ」
緩く腰に腕を回しチークダンスの距離で松本が囁くと、想像以上に嬉しい言葉がAから返ってきた。
「でも頻繁にこっち来て大丈夫なの？」
「別にペットも居ないし平気だけど」
「そうじゃなくって。その、よく判らないけどパパラッチとかスキャンダルとか良いの？」
「そこはまぁその時はその時だし、このマンションはニノがいるからそこに集まってるって思われるくらいかな」
「そんなものなの？」
納得いかない顔で頷くAの頬にキスをひとつ。
松本が柔らかく微笑む。

「俺ももう四十になるし、ニノは結婚してるし、他も彼女いたり同棲してたりするから良いんだよ。勿論その時まで隠し通すけど、俺らも人間なの」

「普通からほど遠いのに」

「まぁAに色々我慢を強いることがあるとは思う」

「それは良いよ別に。でも潤と嵐の皆さんに迷惑を掛けたくないから」

日本の芸能界の事情には疎いから、Aは芸能人の恋人というポジションがいまいちわからない。
これがつい先日まで暮らしていたアメリカなら、スターたちは結構みんな大っぴらにしていたし付き合うも別れるも日常茶飯事みたいなところはあった。
でも日本はきっと違う。暮らしていた十数年前だって芸能人の恋愛はご法度みたいなイメージが強かったのだから、今もそうなのだろう。

難しい顔をするAに松本が話しかける。

「Aになんかしてほしいとかダメなこととか、そう言うのはちゃんと言うよ。だからそんな心配すんな」

「ん、わかった」

了解と言うようにAも松本の頬にキスを返した。