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私も何となく一緒に空を見上げてみる。
突き抜けるように真っ青な空が、四方を囲まれた中庭に四角く切り取られてそこにあった。
飛行機雲が走る。
「ほんとに、暑くなりそうだな‥」
呟いたマツジュンさんの顎を汗が流れ落ちていくのを、ぼんやりと眺めていた。
「ねぇ図書館って他の奴らも来んの？」
「学校のですか？チラホラ見ますけど」
「ふーん」
気のない返事。なんなんだろう。
「そんなにいない感じか」
「そうですね、多分みんな予備校とかじゃないですか？」
「ふーん」
2回目のふーんもやっぱり気のない感じ。
私が荷物を用意しているのを頬杖ついて見つめているマツジュンさんの瞳は何を考えているのかな。
「自転車？ちゃんと水分取りなさいよ」
「はーい」
「帽子は？」
「あっ、これ」
お気に入りのキャップを見せると「カッコいいじゃん」と歯を見せて笑う。
ほんとはハーフパンツで行きたいけど膝上だとお兄ちゃんが嫌がる。マツジュンさんももちろん嫌がる。
くすぐったいような恥ずかしいようなちょっと面倒くさい気持ちもあって、私はジーパン暑いなぁとか思う。
「じゃあ行ってきます。お兄ちゃんたちをよろしくお願いします」
そう言うと、マツジュンさんは笑った。
「たちに、じゃなくて、たちを、なの？俺があの人らの面倒見るの？」
「だって起きてこないから」
「ふふっ」
「？ マツジュンさん？」
指を口元に当てて含み笑い。マツジュンさんは楽しそうに手招きをした。
「起きてるよとっくに。気を使って二人っきりにしててくれたの」
「っ！？ い、いってきます！！」
逃げるように飛び出す。
耳にいつまでも残るマツジュンさんの低く甘い声を振り切るように、思いっきり自転車を漕いだ。
お昼はおむすびを飲食コーナーで食べて、ちょっとだけ散歩をする。
日差しがあまりにもキツイから外は歩きたくないけど、ずっと座りっぱなしもしんどくて、結局少し歩いた。10分も居られなかったけど。
そこからまた勉強アンド勉強アンド勉強会。
来週からは夏期集中講座を受けて実力テストも受けて、とにかく今の自分のレベルを確認する。
スマホのストップウォッチ機能で時間を決めて、過去問を解いていく。
勉強用のノートは基本的にボールペンで、黒赤青しか使わない。
女の子らしいかわいいノートは昔から作れない。
「よーし、やりますか」
小声で呟いて、過去問に取り掛かった。
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作者名：お塩
| 作成日時：2021年6月7日 0時
