【学パロ】君に胸キュン２【詰め合わせ】(J.M) (ページ31)

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「ちょっとな。電話したら珍しく落ち込んでたから気になって。あの人があんな風になるの正直親御さんが亡くなった以来で‥‥なぁ、お前ちゃんと大野さんと話してんのか？」

「‥話してます。というか松本先生には関係ありません」

また、だ。
思い出したくもない昔の事がじわじわと沸き上がる。

「Aちゃんがどうしてそこまで頑ななのか正直わかんねぇけど‥あんまさ、大野さんに迷惑かけるなよ。あの人がどれだけAちゃんを心配して、Aちゃん中心に生きてるかわかってんの？」

解ってる。
解ってるよそんなこと。
でも今は聞きたくない。
マツジュンさんの口から、聞きたくないよ。

「私、‥‥頼んでない」

「頼まれなくてもやるのが親とか保護者なんだよ。あの人の愛情がわからないほどAちゃんは子供じゃねぇだろ？」

「っ、お兄ちゃんにそんなことされたくないの！！」

「おま、大野さんの気持ちは――」

みんな、そう。
みんなそう言ってきたよ。
あの日、呆然とする私たちに。
私の気持ちなんてお構いなしに。

「っ、じゃあっ！！私の気持ちは！？」

仕舞い込んでた。
鍵をかけてた。
感情が溢れて爆発する。

マツジュンさんが、突然大声を出した私に驚いている。

言っちゃダメだって思うけど、もう止まらなかった。

「お兄ちゃんお兄ちゃんって、みんなそればっかり！！お父さんたちが死んでからお兄ちゃんに迷惑かけるなお兄ちゃんに感謝しろって！！半分しか‥‥っ、半分しか血が繋がってないのにって！！」

「‥Aちゃん」

マツジュンさんの声が驚愕に染まっている。
誰にも今までずっと言わずにおいた気持ちが洪水みたいに暴れくるってる。
一度堰を切ってしまえば、決壊したそれはもう留まらない。

「私っ、私頼んでない！！あの頃小学生だったから子供扱いして、私のこと子供だからわかんないだろうって‥‥親戚に散々言われたよ！？迷惑かけるな、いい子でなって！！誰も手を差し伸べなかったくせにっ、全部お兄ちゃんにのし掛かってんの見て、私が何とも思ってないってほんとに思ってんのなら‥‥っ、マツジュンさんだって他の親戚と何も変わんない！！」

「Aちゃん！！待って！」

叫ぶように言って、教室を飛び出す。
後ろからマツジュンさんが私を呼ぶ焦った声が聴こえたけど、立ち止まらない。もう一度対峙する勇気なんて無いよ。

私を見つめる綺麗な瞳が、揺れていた。

悲しげに。