【学パロ】君に胸キュン２【詰め合わせ】(J.M) (ページ22)

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言われた言葉の意味を何度も何度も反芻する。
それでも正直なところ、どうしてマツジュンさんが私にあんなことを言ったのか解らなかった。

あの後、重たい沈黙に耐えかねたようにマツジュンさんが「変なこと言ってごめんね、流石におっさんは相手になんねーよな、ごめんごめん」とやけに明るく笑った。
私もそれに対して乾いた笑いしか返せなくて、更に微妙になった空気。
それを切り裂いたのは階下から私たちを呼ぶ相葉さんの声だった。

「Aちゃーん、マツジューン！！たこ焼き無くなっちゃうよー！！」

この場に似つかわしくない呑気で騒々しい声に思わず顔を見合わせて笑った。

たこ焼きもお好み焼きも美味しかった。
たこ焼きを器用にくるくる転がす二宮さんも、ホットプレートの上に大きすぎるお好み焼きを広げてひっくり返す相葉さんも、ビール片手にご機嫌な櫻井さんも、お兄ちゃんと楽しそうにお喋りをするマツジュンさんも、みんなみんな楽しそうだった。
私、本当は上の空。
だけど美味しくて食べ過ぎてしまってケーキは翌日までお腹に入らなかった。

こんな時、私には恋バナを相談する友人の一人もいない。
今まで作ってこなかったんだから仕方がないけれど、今更ちょっと後悔する。
後悔するのもいい傾向なんだろうか、わからない。

ただ、家に一人悶々と思い悩むよりも、学校の教室の喧騒の中で考えた方が行き詰まらない気がした。
今日は選択教科は無い日だから、松本先生にも会わない。

――Aちゃん俺の事、好き？

あの声と顔を思い出すと一気に恥ずかしくなる。
マツジュンさんが格好良かったからとか気持ちを言い当たられて恥ずかしかったからとかではない、明確な羞恥。

多分、馬鹿にされた気がしたんだ私。
マツジュンさんは私のことをまったく相手にしてないからこそあんなことが言えたんだろう。
その場を取り繕うような、ごめんっていうあの言葉だってそう。
思った以上に私の反応が解りやすかったから、マツジュンさんが引いたんだ。

「‥‥」

知らないうちに不機嫌な顔になっていた。
いけないいけないと頬を揉む。
休み時間の教室は賑やかで、誰も私がこんな悩んでることを知らない。

バカにされてる。最初にマツジュンさんに感じた、捻くれてそうって印象は間違ってなかったんだ。

ちょっと、距離を開けよう。

告白する気はなかったけど、相手にされてない時点で失恋だった。