【学パロ】君に胸キュン【詰め合わせ】(J.M) (ページ45)

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小話２－３ページ45

ニノにはえらい剣幕で怒られた。
姉ちゃんを巻き込むな、ぜってー泣かせるな、って。
アイツも結構なシスコンですよ。

「大事にしてよ？俺の大事な姉ちゃんなんだから。
　あの人何考えてるかよく判んないとこあるし、しっかり者だけど、結構詰めが甘いとこもあるのに、わりと隠すのも上手いから」

今にして思えば、本当にこの言葉に全部が詰まってる気がして、流石弟だなぁって感心する。

俺とAさんが付き合いだしたって改めて報告を受けた時の、茜と翔さんの顔。
驚きとショックと、ちょっとだけ落ち込んだ様子の翔さんに胸が痛んだ。
でも、もう茜の手を取ったんだから、俺にしたらそっちこそ茜を大事にしてほしいって気持ちが強かった。

案外あっさり纏まるところに落ち着いて、じゃあどうしようって思った。
Aさんは思考が自立してて、あまり他人に寄り掛かるタイプじゃないから、俺が本当のことを話したら協力してくれる気がした。
でも、もうあの二人落ち着いちゃったしなぁ。
でも、だからってすぐ別れるのはあまりに失礼だよな、キスまでしたのに。

そう思って誘ったデート。
どこに行きたいって訊いたら、間髪入れずに「水族館！」って子供みたいにキラキラした目で、挙手までして。
ああかわいいなって、この時初めて胸の奥が変な音を立てた。

水族館、映画館、美術館、博物館。
館の付く場所をコンプリートするかのように出かけたがるAさんは、自分で勉強が好きだと言っていた通りに何か知識を吸収するのが大好きな人だった。
雑学っていうの？そういうのも詳しくて、話していて飽きないし面白い。
お喋りってほどじゃないのに、興味のあることは解りやすく饒舌になる。

何度かデートをした秋の帰り道で、あの夏まつり以来二度目のキスをした。
真っ赤に染まった頬に、また、かわいいなって思って。
胸の奥が音を立てるのを、今度は納得しながら聴いていた。

そこからはもう、あっという間に落ちていた。
Aさんのやることなすこと言うこと全部に惹かれていった。
さん付けだった名前も呼び捨てになって、タメ語になって、気が付けば手をつないで歩くようになって。
受験生で、Aさんと同じ高校に行きたい俺は勉強に集中して、ちょっと会えなくなった冬。

ほんの一か月で、もう堪らなくなって連絡をしたのは俺だった。

『会いたい、Aに会いたい』

ってスマホ越しの俺の声は、情けないくらいに震えていた。ほんと、カッコわりぃの。