２０ ページ40
「潤が好き、私もちゃんと好き‥‥いつからなんて知らないけどっ‥‥」
「Aっ‥‥A」
苦しいほどに抱きしめてくれる腕が好き。
私を包み込む全部が好き。
躊躇いがちに触れて、そこから深くなる唇が好き。
大好き。全部、全部取りこぼせない、手放せない、離れたくないの。
「潤、大好き」
「俺も、Aが大好きだ」
二人で泣いて、キスをして。
きつく抱きしめ合って、そっとソファに沈む。
ちゃんと家に帰すからって言ったのに。
カズからのラインに、苦笑する。
『おかーさまが言ってますよ。
避妊しなさいってね
良い夜を』
とんでもない母親と弟だって思うけど、ありがとう。
最高の母親と弟です。
夕方から夜に変わっていく時間帯の、いちばん緑色と藍色が濃くなる時が好き。
夜から朝に変わっていく時間帯の、いちばん薄暗い空が白んでいく時が好き。
そんな時に、隣にあなたがいる。
端正な寝顔。
白い肌に影を作る、濃くて長い睫毛。
高い鼻筋と、厚ぼったい唇がちょっと開いて。
穏やかな寝息が静かな室内に響く。
キスしたいなって思うから、そっと唇を寄せる。
暖かく、すこしかさついたそこは、私のものでない温度があって、胸がきゅっと音を立てる。
ゆっくりと開かれていく、重たい睫毛の向こう側の黒い瞳が柔らかく弧を描く。
幸せそうな笑みだって、私にもわかる。
「初めて‥‥」
「ん？」
「初めて、Aからキスしてくれた‥‥嬉しい」
少年みたいなあどけない笑顔。
その下に隠れている大人みたいな真剣な瞳。
「好き」
「俺も」
もう一度、唇を寄せる。
朝になる前の、夜が明ける前の、静かな未明の空に。
散り際のお月様。
一緒に連れてってよ。
ウソツキだった私たちを。
朝が来たら、夜が明けたら。
今度はいつまでも続くこの関係を祝おう。
いつまでも続くように祈ろう。
弟の、親友の男の子。
二つ下の、大人びた可愛い彼。
私の大好きな、大好きな人と。
おしまい
※翔くん、正直すまんかった！！！！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 66人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：お塩
| 作成日時：2021年5月28日 16時
