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元気がないのかなって思った。
でもそれは彼も受験生だし、勉強疲れかなって。
夏の終わりだし、もしかしたら暑さでやられてるのかなって。
そのくらいの認識で。
花火が上がる一時間前に、神社の近くの河川敷に向かうと結構な人が居た。
結局、二人には焼きそばを買った。
カズには、たこ焼き二つととから揚げ二つととかき氷とチョコバナナ二つとフライドポテトふたつを買わされた。
いや、買うって言ったし。
別にいいんだけど。
どう考えてもこの量、私とカズ二人分じゃないでしょって苦笑する。
良いんだけどね、この方が松本くんと相葉くんも気に病まないだろうし。
どうぞこの先輩のお金で好きに食べてくださいよ！
「「「ゴチでーす！！」」」
そう言って笑う年相応の笑顔が可愛いなぁって思っちゃったから。
受験勉強疲れで最近イライラしてた可愛い弟が、にんまりしてるから。
良かったなぁって思って。
河川敷に敷かれたブルーシートの一角に四人で座って、もうすぐ上がる花火を待ってた。
その時、後ろから掛けられた声が、一つ歯車を動かした。
「あれ、お前ら来てたの？」
「櫻井くん、とえっと、あかねちゃん？だよね」
振り返ると、一時間くらい前に人混みで見かけた櫻井くんと茜ちゃんがいた。
「二宮先輩、こいつら連れてハーレムじゃないっすか！」
なんて。
この子も相変わらずのイケメンくんだなぁって思って、ちょっと話をする。
カノジョ？なんて聞けば、実は二週間前からなんて照れた言葉が返ってきて。
相葉くんと二人でひやかして、松本くんとカズも会話に入ってきたけど、なんかちょっとテンションが低いような気がして。
気がして。
気づかなかった私が、悪かったのかな。
「あ、お茶無かったね？買ってくるわ」
「俺も一緒に行きますよ」
立ち上がった私に、相葉くんが腰を上げる。
良いよって言おうとしたら、それよりも先に松本くんがそれを制した。
「相葉さん俺が行くよ、ほしいもんあるし」
「潤くんその人頼んだよ、結構迷子になるから」
「ちょっとカズ！」
「了解。Aさん行こうか」
「あ、うん」
ちょっと上にある横顔はやけに大人びていた。
イケメンだなぁなんて感心していた、この日の私。
とんだ大馬鹿ものだった、この日の私。
この時、君は何を考えていたのかな。
はぐれるといけないからって、差し出された手を取った時に、始まってたのかな。
それとも、もっと前から？
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作者名：お塩
| 作成日時：2021年5月28日 16時
