【学パロ】君に胸キュン【詰め合わせ】(J.M) (ページ3)

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「A、昨日はありがとな。おかげで補習なさそう」

英語の小テストが終わったあとで私を見るなり、いい笑顔でそう言った潤が手のひらにチョコをくれる。
カカオ72％のそれは私が食べられるギリギリの苦味。
ちょっと癖になるその味は、甘いのに苦くて、恋みたい。

うわ、なに言ってるの私。
恥ずかしい思考回路も、恋してるから。

「予想通りだったでしょ」

「さすが英語学年一位を中学から今までキープしてるだけあるわ」

「英語しかできないけどね」

「ほんとな」

「なんだと！」

潤は私の斜め前の席。
その後ろ、私のとなりのカズが顔をあげた。
眠そうな子供みたいな瞳で「潤くん俺もほしいでーす」と手を伸ばす。
しゃーねぇなぁ、なんて。潤はカズに甘い気がする。
渡されたチョコをすぐには食べずに、カズはにんまり見つめてる。

カズ。二宮和也。
家が向かいの私の幼馴染で、潤の親友。
カズは保育園からの友達だ。
年中さんの時は毎日一緒におままごとをしていた記憶がある。
年長さんになったら、カズはフラフープを腰で回さずに目の前に投げて戻ってくるのをずーっとやっていた。私も一緒になってやっていた。あれはあれでとっても面白かったから。

道路を挟んで学区が違ったから、小学校は別々だった。
当時はそれが理解できなくて、一年生の最初の一ヶ月は毎朝カズと二人でわあわあ泣いてた恥ずかしくもほほえましい思い出。
高学年になるにつれて、挨拶ばっかりになったけど、たまに翔と三人でどちらかの家でゲームをして遊んだ。マリオ、中々カズに勝てなかったなー。今もか。

中学校に進学したら今度は同じところで、そこで私は潤に出会った。
最初はその濃い顔と目力全開の大きな瞳が、黙っていたら怖くてあんまり話せなかったけど、カズを挟んでだんだん仲良くなった私と潤。同時に、隣のクラスの相葉くんとも仲良くて、気付いたらいっつも四人でワイワイしてた。

そこから、カズの家に遊びにきた潤と相葉君が、翔とその友達の智くんと出会って意気投合して、五人はすっかりマブダチになっていた。

男五人の友情はなんだか独特で、そこには入れないことが寂しくもあった。
でも私は私の友達がいたし、潤たちは私をのけ者にはしなかったから、なんだかんだ中学校から今まで途切れずにやってきている。

そんな私たち。