梅雨明けおまけ小話１(5/29) ページ16
「そう言えばさ、焦ってないってなんでだったの？」
ようやく涙も恥ずかしさも引っ込んだのは、ソファに並んで座ってから。ほかの四人はテレビの前でマリオに夢中になっている。あ、バナナ飛んでった。
「え、えー？そんなこと言ったっけ俺」
「言ってた！あと、ブラコンってなんで？私ブラコンじゃないけど？」
あの日、花壇の前でいろいろ言われたことを思い出して、答え合わせをするみたいに潤に質問する。
彼は、ちょっと照れた顔をして、指で鼻の下をこすった。
「いや‥‥その、さ？」
「うん」
「A結構わかりやすいから、あ、もしかして俺の事好きなのかなーって思うところはわりとあって」
「マジ‥‥」
どんどん顔が赤くなる。だって熱い。
私の隣に座ってる潤の耳もちょっと赤い。恥ずかしすぎる。
それなのに、私の方をちらっと見てニヘって笑う顔が可愛すぎて、ああダメ好き。
「まぁその、告ってもすぐにフラれるってこともないかなーってのはあって。そんで焦ってなかった」
「潤くんはさぁ！ロマンチックな告白を考えてたんですよ！」
突然のカズの大声にぎょっとする。
何言ってんだよおいっ！って声を荒げる潤のことを気にする様子もなく、なぜかカズは翔に向かって「ねー」って首をかしげて見せた。
そしたら翔も「ねー！」って。
なんだろうこの二人、かわい子ぶってるけどかわいいぞ。
「そもそもオカシイって思ってたんだよ、俺らずーっと潤に相談されてたのにさぁ」
「え」
「ちょっ、ちょっと翔さん！」
「いつ告ろうどこで告ろうってそりゃあウルサイ潤くんでしたから」
「ええっ」
「待て待てマテカズ！！」
もう潤の白い肌はまっかっかで、相葉くんも智くんもニヤニヤ笑っている。
そうだったんだ、全然知らなかった。
本当に私の気持ちは私以外皆知ってたみたいだし、潤の気持ちも私以外のここにいるメンバーは知ってたんだ。
走り出したいほどむずむずする気恥ずかしさに全身を襲われながら、はっとする。
「ねぇじゃあブラコンってのは？」
「いやだってお前翔さんとカズが」
「は？」
潤の疑いを知らない大きな黒い瞳が私を見ている。
その斜め前に並んで座ってマリオをしている名前を呼ばれた二人がニヤッニヤしてる。
「Aは翔さん大好きだろ？いっつも色んなこと相談してるしさ、納得だよ」
私はブラコンじゃないし、たぶん翔がシスコンなんだよ！！って言葉が響くまであとちょっと。
おしまい
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作者名：お塩
| 作成日時：2021年5月28日 16時
