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「なんだぁ、A元気じゃん」
「カズ、来てたの」
日曜日。
ゆっくり休んで起きて、私がリビングに降りたのは10時近かった。
全然気が付かなかったけど、リビングの大きなテレビの前でカズと智くんが対戦ゲームをやっていた。いったいいつの間に。
「あれ翔いないの？」
家族じゃない二人がいるのに、たぶん一緒に遊んでいるはずの翔がいなくてあたりを見回すと、コンビニ行ってるんだよ〜とのんびりした声が聴こえた。
「智くんお久しぶり」
「Aちゃんもね、風邪治って良かったねぇ」
「うん。久しぶりに熱出た」
「翔くんは知恵熱だって笑ってたよ」
「風邪だもん」
「何とかは風邪ひかないって言うのにね」
「カズ？」
楽しそうに笑ったカズの顔は、相変わらずにんまりしている。
麦茶を飲もうと冷蔵庫を開けた私に「俺にも頂戴」って言いながらやってきて、隣に立って一言。
「潤くんめっちゃ心配してたよ、面白いくらいに」
「‥‥そう」
「‥‥潤くんとなんかあった？潤くんなんかオカシイし、翔くんもなんかオカシイし」
そう言ってのぞき込んでくる瞳は、やっぱり子犬みたいだ。つぶらな瞳。カズはなんかかわいいな。
っていうか、私の周りの五人はそれぞれなんかかわいいなチクショウ。
「‥‥別に、なんにも」
「俺に隠し事すんじゃないよ」
ね？
なんて言うカズの瞳が優しくて、じんわり目頭が熱くなる。
もう泣きたくないけど、この幼馴染も翔と一緒で私の気持ちを簡単にわかってしまうところがある。
「‥‥‥‥告白する前にフラれた」
「は？」
「はぁ！？」
「えっ、智くんまで？」
思いっきり口を歪ませて「はぁ？潤くんがフッた？なにそれ？ありえないんだけど？」って言うカズと、びっくりした顔でこっち振り返ってもう一回「はぁ？Aちゃんが潤に？なんで？」って言ってくる智くん。
待って待って、話が見えないよ。
意味が解んないよ。
なんで二人してそんな反応なの。
「‥‥っていうか、私ってそんなに潤のこと好きってわかりやすいの？」
恐る恐る聞いたら、二人してきれいに声を重ねてくれた。
「「うん」」
「そ、そんなに！？」
「つうかクラスで知らないの本人くらいじゃないの？」
「えっ！？嘘！？恥ずかしすぎる！！！」
カズの言葉に頭を抱えた私の耳に、玄関のドアが開く音が聞こえた。
同時に「ただいまー」って声。
嘘。
翔と相葉くんと――潤だ。
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作者名：お塩
| 作成日時：2021年5月28日 16時
