＊ ページ7
相当な嵐フリークだと翔さんが言っていた通り、Aちゃんは俺らのライブを物凄く事細かに覚えていて、何分何秒のニノの表情がイイだの、この曲のこの瞬間の相葉さんの動作が〜だの、ここでカメラがパンしてああなってこうなってだの、延々話していた。
最初はやべぇ人だなと思ったけれど、聴いているうちに俺が知りたいと思っていた感想がそこら中に散りばめられていることに気が付いて、あっという間に引き込まれていた。
「この曲の、あそこであの色のライトがこう、ここから差すのが」
「あれ！ そうすっげぇ最後まで話し合ったとこでさ」
「そうなんですか？ 物凄く印象的で、もう天才かと思いました」
「そんなに？ あ、じゃあ57分のさぁ」
「あっ、あそこですか？ 大野さんがこう、」
「そうそうそこ！ あれもさぁ、その前の曲との繋がりとか、全体を見るとさ」
「でもすごく自然でしたよ、と言うかもうあの流れしかないと思いましたもん。あ、でも」
「え、なんかあんの？」
思わず前のめりになる。
Aちゃんがぎょっとしたように身を引いて、グラスの中身が揺れた。
「あ、ごめん。演出の話になるとめちゃくちゃ熱くなっちゃうんだよ俺」
「いえ、あの、潤くんの構成本当に素敵です」
「ほんと？ でもなんかあんでしょ、あれはダメとかさぁ」
「だめなんてそんな！ 嵐の皆さんが、沢山のスタッフさんと一緒に私たちのために創り上げてくれたものに文句なんて無いですし、これからもきっとそうやって私たちのために沢山考えてくれるって解るので、だからもうずっと推します！！」
「‥ありがと、そういうファンの生の声ってそうそう聴けないし、ここまでライブを見つくしてくれてる人の意見ありがたいよ」
「わ、私の意見で良かったら‥‥潤くんとこんな話が出来るなんて、来て本当に良かったです！」
にこっと。
赤くなった頬が緩んで、初めて華やかな笑顔を見た。
黒縁眼鏡の向こう側に想像以上に可愛らしい顔を隠してることに気が付いた瞬間でもあった。
「‥‥」
「あ、あの？」
思わず手を伸ばしていた。
きょとんとしたままのAちゃんからそっと眼鏡を外す。
「――え」
「うん、Aちゃん眼鏡無い方が可愛いよ」
別にこの時の俺は彼女を口説こうとかそんなのはなんにも思っていなくて。
ただ沢山話し込めた楽しさと、ほろ酔い加減と、そんなものが重なっただけで、決してやましい感情は無かった。
無かったんだけど、ね？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 558人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
お塩(プロフ) - kanalicenseさん» Twitterフォローありがとうございます＆いつも楽しんでいただけて嬉しい限りです！ぜひぜひよろしくお願いいたします。返信が遅くなってしまってすみませんでした💦 (2022年1月28日 6時) (
レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
kanalicense(プロフ) - いつもニマニマ出来る素敵なお話ありがとうございます💜Twitterフォローしました！が私が鍵垢なので「急に知らない鍵垢からフォローされたぞ？」と思われたらごめんなさい！怪しい者ではないので…よろしくお願いします！ (2022年1月24日 21時) (レス) @page49 id: bb996256c3 (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - トリコさん» 私も自分で作った年表で生きてますｗｗ激しいだけの俺担ちゃんですが、わりと過去が壮大になりました。最終的にはいちゃいちゃいますが、そこに行くまでの紆余曲折を上手いこと書いていきたいです！あけましておめでとうございます！！！ (2022年1月7日 23時) (レス) id: bdf4956e41 (このIDを非表示/違反報告)
トリコ(プロフ) - どうしよう！年表だけで生きている（笑）楽しみでしょうがないですありがとうございます、あ、あけましておめでとうございます（笑） (2022年1月7日 16時) (レス) @page3 id: f4417e8437 (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - 竜胆さん» 竜胆さんありがとうございますー！俺担ちゃん可愛いんですよ、ほんと(笑) 私も自分で書いててしんみりしました‥見たいな、見せたいな、今度は私も一部になりたいなーって。いつかを願いつつ、やっぱり彼らのペースで。竜胆さんとこも楽しみに待ってますね！ (2022年1月7日 6時) (レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：お塩
| 作成日時：2021年11月3日 5時
