海に花束を ページ28
ゴールデンウイークの最終日、私は毎年電車で２時間の母方のおばあちゃんちに向かう。
小さかった頃は、年末年始、ゴールデンウイーク、お盆はおばあちゃんちに行くのが恒例だった。
私が小学生の時、お母さんが亡くなった。
すでに両親が鬼籍だったお父さんは、男手一つで私と弟を育ててくれた。
けれど、仕事が激務だったお父さんはあまり家いる時間が少なくて、そんな私達をいつも気にかけてくれてのは、亡くなったお母さんのお母さん。おばあちゃんだった。
おばあちゃんちにお母さんの弟夫婦が同居していて、お父さんと叔父さんは元々仲良しで、親戚の距離は近かった。小母さんも優しくて、私達は長期休暇になるとおばあちゃんちに泊まらせてもらっていた。
大人の間で色々あったんだろうけど、それは私が中３で、弟の和也が中１になるまで続いた。
それ以降は、各々生活リズムができてるから、泊まりに行っても２日とか、日帰りとか、そんな感じになった。
私の暮らす県庁所在地よりもずっと山深くて、けれど、海もすごく近かった。まさに田舎なおばあちゃんちでの生活はとにかく楽しかった。
基本インドアでゲームばかりの和は嫌がってたけど、従兄弟の雅紀やその友達たちと海や川で遊ぶのは楽しかった。
だから私はおばあちゃんちが大好きだった。
あの事件が起きるまで。
海が見下ろせる堤防に立って、真下の波打ち際に持っていた袋の中身をパラパラと落とす。
波間に黄色の粒がゆらゆら揺れて、そのうちお魚に食べられるんだろうかなんて考える。
この日だけは、どんな用事があろうとここに来ることにしてる。むしろ用事は入れない。
この海に、私の大事な存在が眠っているから。
あんなに早くお別れしなきゃいけないなんて、夢にも思っていなくて。
それこそ今も夢に見るほど大好きだったから。
だからこの日だけは、あの子のためにここに来て、あの子の大好きだったとうもろこしを海に撒いてる。ほんのちょっとだけね。
「‥もう10年も経っちゃったよ」
初夏の日差しは痛いほど強いのに、吹く風はまだまだ冷たい。
ところどころ雲がちぎれて、晴れ渡った青空が海をもっと青く染めた。
「会いたいなぁ‥」
立ち尽くして呟く。
どれだけ望んでも会えないのは判っている。あの子の代わりがいないことも。
元気いっぱいに私の後をついてきてた姿を思い出すと、未だに涙が出そうになって慌てて拭った。
だって後ろから足音といつもの声もがしたから。
「また来てんの」
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お塩(プロフ) - ゆぃさん» そうなんです(笑)マチ子事件簿の裏にはこんなことがあったかも知れないんです(笑)マチ子ちゃんにMJ呼びさせるの超楽しいです☺☺☺ (2022年4月27日 9時) (
レス) @page27 id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
ゆぃ(プロフ) - な、なんと！！あのお話の裏にはこんなことがあるなんて…🤣🤭🫣最高です💜 (2022年4月27日 6時) (レス) @page27 id: 7a81be16ec (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - ラムさん» ラムさんへ、午後の仕事の活力になってるなら良かったです！！相変わらずの安心安全お塩製なので大丈夫です(笑)バレンタインか？みたいになりますけどww (2022年2月14日 18時) (レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - ゆぃさん» ゆぃさんへ、お潤くんにならストーキングされてもなんのそのですね！今度本気でやばい方の書いてみようかなとか(笑) (2022年2月14日 18時) (レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - いくさん» いくさんへ。わぁぁそんな楽しんでいただけるなんて嬉しいですありがとうございます！！基本やっぱりハッピーエンドがイイですよね、まだまだここ増やしていきますのでこれからもぜひお付き合いください！ (2022年2月14日 18時) (レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お塩
| 作成日時：2021年11月2日 0時
