あなただから ページ1
潤と出会ったのは雨の日だった。
折角直帰だったのに、まさかの天気予報は大外れの土砂降りで、駅前に立ち尽くしてた。
小さな駅だから売店はなくて、ちょっと行ったところのコンビニには傘が売ってるだろうけど、きっとそこにたどり着く頃にはびしょ濡れになってるのは分かりきってて。
どうしようかなって、曇天から落ちてくる雨粒を見上げていた。
止む気配はない。
だったらもういっそアパートまで走れば10分かからないだろうから、と夏の夕方には似つかわしくない薄暗がりの町に一歩足を踏み出したとき。
「小宮山さん？」
「えっ、あ、営業の松本さん？」
「はい、営業の松本潤です。企画の小宮山さんお帰りですか？」
「今日直帰だったんです。生憎傘がなくて、もう走ろうかなって」
松本さんが駅のひさしから空を見上げて片眉を上げた。
うわ、外国のイケメン俳優みたいな仕草！
でも松本さんは外国のイケメン俳優だって真っ青になるほど、彫刻みたいな端正な顔のイケメンで笑うと可愛いって会社の殆どの女子に人気な人。
私を見る瞳が、この土砂降りの中？ どうかしてない？ って語ってる。
私もそう思います。
でもどちらにしろ濡れるなら、家にビニール傘を増やしたくないだけで。
「小宮山さん、もし良かったら」
「へ？」
松本さんが大きな藍色の傘を広げて、隣を指さした。
まさかの相合い傘で歩くいつもの帰り道は、全く知らない景色に見えた。
聞けば、この駅から歩いて5分くらいにある老舗の和菓子屋さんを大変気に入っている大口の顧客がいて、明日商談があるので日持ちするものを買いに出てきたそうなのだ。
わざわざ松本さんが？ と思ったのが顔に出ていたのか、彼はフフッと笑う。
肩が揺れ、私の肩とぶつかった。
少しだけドキリとした。
「和菓子屋のばーちゃんが俺のファンなんだってさ」
「へ、へ？」
「松本さんが来てくれると張り合いがあるって、いっつもオマケしてくれんの」
「そうなんだ」
松本さんの口調が砕けたから、私も勢いで敬語を無くした。
松本さんがまた笑った。今度は「いいね」と呟きながら。
「何がいいね、なの？」
彼の方を向くと、彼は私を見つめていた。
なんだろう、この瞳。黒っていうよりも茶色に近い虹彩が、キラキラしている。
この雨の中、どこから光を集めて輝くんだろう、なんて考えてボーッとその瞳を見つめていたら、唇にぬくもり。
「え」
「小宮山さんいいねって、そう思って」
「まつも」
言葉は彼の唇に飲み込まれた。
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お塩(プロフ) - ゆぃさん» そうなんです(笑)マチ子事件簿の裏にはこんなことがあったかも知れないんです(笑)マチ子ちゃんにMJ呼びさせるの超楽しいです☺☺☺ (2022年4月27日 9時) (
レス) @page27 id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
ゆぃ(プロフ) - な、なんと！！あのお話の裏にはこんなことがあるなんて…🤣🤭🫣最高です💜 (2022年4月27日 6時) (レス) @page27 id: 7a81be16ec (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - ラムさん» ラムさんへ、午後の仕事の活力になってるなら良かったです！！相変わらずの安心安全お塩製なので大丈夫です(笑)バレンタインか？みたいになりますけどww (2022年2月14日 18時) (レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - ゆぃさん» ゆぃさんへ、お潤くんにならストーキングされてもなんのそのですね！今度本気でやばい方の書いてみようかなとか(笑) (2022年2月14日 18時) (レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - いくさん» いくさんへ。わぁぁそんな楽しんでいただけるなんて嬉しいですありがとうございます！！基本やっぱりハッピーエンドがイイですよね、まだまだここ増やしていきますのでこれからもぜひお付き合いください！ (2022年2月14日 18時) (レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お塩
| 作成日時：2021年11月2日 0時
