＊ ページ9
「おおおおわったぁぁ」
「お疲れさん」
「ありがとうありがとう潤！！」
「どういたしまして、おっし帰るか」
時刻はもう22時。
フロアの灯りは落ちていて、俺らの周りだけほの明るい。
これ一人だったら相当怖い奴じゃねーの？
「この時間じゃ飲みには行けないね‥」
「あー‥まぁ今度行こうぜ」
「うん」
ちょっと残念そうにするとか、やめてよちっさな期待をしちまう。
デスク周りを片付けるから待っててというAに、俺も忘れものチェックするわなんて自分とこに戻って、隠しておいた紙袋を手に取る。
今日の日のために、恥を忍んで買いに行った、わりと高級な店のチョコレート。
この馬鹿鈍感な女に、義理じゃないって解ってほしくて。
「――潤」
「っ！！ な、なに」
背後から掛けられた声に思わず飛び上がる。俺、後ろ取られんのほんっと苦手。
相手がAだって解ってるから腹は立たないけど。
「これ」
「え」
「とりあえず今日のお礼‥‥あの、潤が指定するお礼はそれはそれで聞くけど、っていうかあの別に深い意味は無くて今日ってバレンタインだし一応潤にはいつもお世話になってるし」
顔を真っ赤にして早口で捲し立てるAに驚くけれど、渡された箱にも驚く。
今日バレンタインデーだって知ってたんだ。知らないかと思ってた。
「流石にそんなに馬鹿じゃないんだけど！」
「あれ、声に出てた？」
「出てた！ ‥‥貰ってくれると嬉しい、です」
暗がりでもわかるほど真っ赤になって、指先がコートをぎゅっと握りしめていて。
ああ、馬鹿みたいに鈍感なのは俺の方じゃん。
流石にこれで気付かないわけないよ。
「A、ごめんな」
「っ、あ‥‥あ、うん、そっか、えっとあの気にしないであの義理」
「義理じゃないだろ？ A、ありがとう。女の子なのに、先に言わせたみたいになってごめん」
「え‥？」
俺の最初のごめんを断りだと思ったAが、顔を上げる。
涙が散って、ああもうその女の子なところも馬鹿みたいに可愛い。
そうじゃなくたってAはいつもいつも、馬鹿みたいに真っ直ぐに馬鹿みたいに可愛くて、俺の心のど真ん中にずっと居る。
「Aが好きだ。俺の彼女になって」
「っ‥‥」
差し出したチョコレートの箱。
相当気合の入った見た目とでっかいリボン。
あとは。
「‥‥これも、受け取って」
ジュエリーケースに目を瞠って、ダムの放水みたいに泣くAを抱きしめた。
「潤が好き」
「大好き」
END
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お塩(プロフ) - ゆぃさん» そうなんです(笑)マチ子事件簿の裏にはこんなことがあったかも知れないんです(笑)マチ子ちゃんにMJ呼びさせるの超楽しいです☺☺☺ (2022年4月27日 9時) (
レス) @page27 id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
ゆぃ(プロフ) - な、なんと！！あのお話の裏にはこんなことがあるなんて…🤣🤭🫣最高です💜 (2022年4月27日 6時) (レス) @page27 id: 7a81be16ec (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - ラムさん» ラムさんへ、午後の仕事の活力になってるなら良かったです！！相変わらずの安心安全お塩製なので大丈夫です(笑)バレンタインか？みたいになりますけどww (2022年2月14日 18時) (レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - ゆぃさん» ゆぃさんへ、お潤くんにならストーキングされてもなんのそのですね！今度本気でやばい方の書いてみようかなとか(笑) (2022年2月14日 18時) (レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - いくさん» いくさんへ。わぁぁそんな楽しんでいただけるなんて嬉しいですありがとうございます！！基本やっぱりハッピーエンドがイイですよね、まだまだここ増やしていきますのでこれからもぜひお付き合いください！ (2022年2月14日 18時) (レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お塩
| 作成日時：2021年11月2日 0時
