不思議な魔法 ページ41
運ばれてきたお酒で乾杯をして、お通しのナッツをつまむ。塩味が丁度良い、けれど。
「ご飯食べたい‥‥」
何か軽く食べてくれば良かったのかもしれないが、食事が美味しいと聞いていたので堪える。
「ピザ来るから、ハムとチーズもくるから、たこわさいる？」
「バーでたこわさって」
「ありあり。というか、有りだからメニューに載ってんですよ。夜はバータイムだけど、食事はレストラン並みだから」
「うん‥‥あ、このお酒美味しい」
緊張からか思いのほか喉が渇いていて、飲み込んだぴりっとした炭酸が心地いい。
口の中で泡がはじけて、目の前までちかちかしている気がする。
「Aさん普段何飲むの」
「生中」
「その格好でそう言われるとギャップがひどい」
「一番、好きなの」
「‥‥、ビールが？」
「うん」
横並びで会話をするのは初めてで、否応なしに毎回松本の方を向く羽目になる。地味に首が疲れる。
けれど、そちらに目線をやるたびに三割増しでイケメンになっている松本が楽しそうな顔をしているのが見えるから向かないわけにはいかない。
その位、間近で見たって松本潤という男は格好良くて、雰囲気も所作も目を引くのだ。その上、いちいち愛嬌がある。可愛らしいと言ったら怒られそうだが、弾ける笑顔が可愛いとAは思った。
大きな弟、犬、猫、そんな感じのものに懐かれていると思うとAは無碍にできない。
(やっぱりなんか、不思議な人‥‥)
多分、世界中で松本潤のこんな姿を独り占めしている人間なんて、数えるほどしかいないのだろう。
その中に自分がいることが不思議でならない。
松本潤の大きくてきれいな瞳に自分が映っていることが、信じられない。
「Aさん？」
「あ、ごめんちょっと松本が格好良くてびっくりしてた」
「え」
それなのに、何万回も言われ慣れているであろう格好良いの一言で、あからさまに狼狽えたりするのだから。
(格好いいのか可愛いのかはっきりしてほしい。ああでも人気になる人ってやっぱり愛嬌があるのよね‥)
出会ったあの夜からずっと、不思議な魔法にでも掛けられているみたいな心地だ。今も。
「やっぱり強めの幻覚かな」
「おい、雰囲気壊すなよ」
「雰囲気って何。でもごめんって、イケメンなのは本当だから」
思わずAはふふっと笑う。
思いもよらないそのいたずらな笑みに、松本は惚けてしまった。
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お塩(プロフ) - ゆぃさん» ゆぃさん、一気読み疲れないですか？今後どんどん長くなる上に、どんどん何なのこの人たちってなるので(笑)ありがとうございますー！ (2021年10月3日 19時) (
レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
ゆぃ(プロフ) - 小出しもいいけど、一気に読めると尚嬉しいから 一気に出しても大丈夫ですよ~♪ (2021年10月3日 13時) (レス) @page29 id: 7a81be16ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お塩
| 作成日時：2021年9月29日 1時
