引力 ページ5
「そういうことしなさそうな真っすぐさがある人だったね」
言われ、そうだなと頷く。
まだ指二本折れば終わってしまう数しか顔を合わせていないのに、そう思わせる。そんな真っすぐさが、彼女には確かにあった。
「周りに居なかったと言えばそうかも」
「あれじゃない？ 『俺に靡かないなんておもしれー女だな』ってやつ？」
「は？」
意味が解らなくてぞんざいに返事をすると、隣に腰掛けた二宮がいたずらっぽく笑う。ほらそういう俺様キャラやってたでしょ。女の人は結構好きみたいよ。なんて。
「いや、俺あんなんじゃねぇし‥」
思い出した俺様キャラに頭を抱える。
原作が漫画だし、良い男ではあるのだけど取りあえず俺はああじゃない、と松本は思う。
「まぁでもわりとそう思われてそうじゃない？」
「‥行き倒れのイメージが強すぎて今までみたいなイケメン王子には見れないとは言われた」
「それ！ ぶわははは！ 何度聞いてもほんと笑っちゃうんだけど、イケメン王子って」
「お前な‥」
「ま、でも良いんじゃない？ 家は知ってるわけだし、どうしてもなら会いに行くのも手でしょ」
さらっと言われた言葉に驚く。
「なんかそれは怖くないか？」
「今更でしょうが。だってもう一回行っちゃってるじゃん」
事実だから松本はぐうの音も出ない。
二宮はにこやかな表情のまま、畳みかけてくる。
「あなたさぁ、お姉さんに対しての行動がかなり逸脱してるって気づいてる？ 直接会いに行ったりカフェに連れてったり。俺らの立場解ってる？ 一般人の女性一人を、そんな風に特別扱いしてるのがバレたら、小宮山さんがどうなるかとか考えたことある？」
「それは‥‥」
指摘されなくても松本自身、自分でも判っている。
自分の、自分たちの立っている場所も。
「でも、その、Aさん友達だしさぁ」
「ちょちょちょ、やめてそんな純な答え俺は求めてないよ」
きゃっ！ 松潤がそんな！ と両手で顔を隠して恥ずかしがる仕草をする二宮に、くそぅと拳を握りしめる。
二宮の懸念を、松本だって十分解っている。
でも、どうしてか松本はAに磁石みたいな吸引力を感じてしまう。
引っ張られてすぐにくっついて自分からは離れることが出来ない砂鉄みたいに、Aの持つ不可思議な何かに引きずられていく、そんな感じがするのだ。
それがどんな結末をもたらすのか、想像もつかない。
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お塩(プロフ) - ゆぃさん» ゆぃさん、一気読み疲れないですか？今後どんどん長くなる上に、どんどん何なのこの人たちってなるので(笑)ありがとうございますー！ (2021年10月3日 19時) (
レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
ゆぃ(プロフ) - 小出しもいいけど、一気に読めると尚嬉しいから 一気に出しても大丈夫ですよ~♪ (2021年10月3日 13時) (レス) @page29 id: 7a81be16ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お塩
| 作成日時：2021年9月29日 1時
