キラキラしてる ページ38
知らず足早になっていくのは、心のどこかで楽しみにしている自分がいるからだとAは解っている。
日常に紛れ込む非日常が、すっかりオシャレや夜のバーなんて世界から遠ざかっていたAをゆったりと引き寄せていく。
本当はまだ、抵抗は沢山あるけれど。
(‥‥今夜が楽しいと良いな)
そう思ってしまうのは、今までの松本とのやりとりがあるからだ。
彼ならきっとAが傷つくようなことはしないと、漠然と信じられるからだ。
ちなみに。
Aが去った後の更衣室では二人が
「いや絶対男でしょ」
「A先輩についに春が‥」
「しっかし、ほんとスタイル良いよね」
「なんかスポーツやってたんでしたっけ」
「そうえっとなんだったか合気道だか空手だか」
「カッコいい！ 私が先輩と付き合いたい」
と盛り上がっていたのだった。
待ち合わせは十九時に店の前。一度カフェ最寄り駅のコインロッカーに荷物を詰め込んで、上着とサブバッグだけを手にAは歩き出す。
「うう、緊張してきた‥変じゃないかなぁ」
もうこの格好で来てしまったんだししょうがない！ と最近幾度となく繰り返す「女は度胸！」を呟いて、Aは前を向く。
一度歩いた場所は忘れないから迷うことはないけれど、近づくにつれて緊張がどんどん増して吐きそうになる。ついでに周囲の視線も気になる。やけに見られている気がする。
(やっぱりでかい女がこんなのダメだったのかー！ 正解がわかんないー！)
大通りから一本路地を曲がれば目的のビルが見えてくる。そのビルのエントランスの横を通って、更に奥にひっそりとあるカフェ直通の入り口前に立っている男にAは息を呑んだ。
どう見てもいつもの三割増しで格好いい松本潤がそこにいる。
大抵おろしている髪を撫であげて、テレビで見るみたいなグレーのジャケットと黒のブイネックのサマーニットと黒のパンツ。足元まですっきりと纏まっていて、別の世界の生き物感が強い。
(幻覚かな？ 松本さんの周囲がキラキラしてるような)
顔を隠すことも無く、すっと立っている姿はそれだけで絵になる。
やっぱりドラマのワンシーンみたいで違う世界すぎて、Aの脳内に帰りたいがこだまする。だけど。
(スマホの画面確認してるだけなのに、解っちゃうんだもんなぁ)
誰もが振り返る天下の松潤、彼が今誰を待っているかなんて。
「松本‥‥さん、お待たせ」
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お塩(プロフ) - ゆぃさん» ゆぃさん、一気読み疲れないですか？今後どんどん長くなる上に、どんどん何なのこの人たちってなるので(笑)ありがとうございますー！ (2021年10月3日 19時) (
レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
ゆぃ(プロフ) - 小出しもいいけど、一気に読めると尚嬉しいから 一気に出しても大丈夫ですよ~♪ (2021年10月3日 13時) (レス) @page29 id: 7a81be16ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お塩
| 作成日時：2021年9月29日 1時
