木曜定時過ぎの更衣室 ページ37
そして木曜日、定時を三十分すぎた更衣室でAは眉間に皺を寄せている。
「あれっ、小宮山ちゃん今日雰囲気違うね！？」
「えっもしかして今日デートですか？」
「デートじゃないです、知人と飲みに行くんで。フォーマル過ぎないフォーマルって難しくて」
退勤後の更衣室でAは持ってきた洋服に袖を通す。化粧も直して鏡の前に立ち一通りチェックする。
「変じゃないですよ！ A先輩いつもパンツが多いのにスカートめっちゃ素敵です」
「えっありがとう、変じゃないかな」
「全然っ！ 小宮山ちゃん背も高いし足も長いし、スカートもパンツも結局スタイルが物を言うのよね、チクショウ似合ってる！ その長い脚で段差に躓いて！」
「褒められたのに呪われた気分なんだけど」
同期と後輩がAの服装をチェックする。
なにせ彼女たちは、今まで退勤後にオシャレをするAを見るのはこれが初めてだ。しかも本人は自信無さげときている。
((助け舟出すしかないっしょ！！))
「先輩、髪の毛ちょっと巻きます？」
「え」
「十分くらいで出来ちゃうんで、毛先だけふんわりさせましょうよ！」
「え、でも」
「時間大丈夫ですか？ このセットアップシンプルですし、髪の毛可愛くしましょう！」
そう言うと後輩は自分のロッカーから巻髪用のコテを出してコンセントにセットする。
「小宮山ちゃんアクセサリーは？」
「え、えっとこれを」
「オッケーです、かわいい。靴は、このままでオッケーです」
Aが戸惑うのを他所に、同期は持ち物チェックをしているし、後輩はスプレーを吹きかけた毛先を温めたコテで器用にくるくる巻いていく。
かくして十分後には、今まで見たことのない自分が鏡の前に居る。
「どおです！ 先輩きれいなんだからこのくらいしたって何の問題もないです！」
「小宮山ちゃんはもっとこうやって着飾ってもバチは当たらないよ！」
「ええー‥でも私はそれよりもイベントにお金をかけたい」
「で、出〜〜！ でも気持ちはわかります！」
「激しく同意するけど、たまにはさ！」
何を隠そう三人ともイベントに直参する系の同じ趣味の世界に没頭しているメンバーである。
「あ、時間がやばいかも。ありがとう、めっちゃ助かった」
「今度彼氏さん紹介してくださいね！」
「だから違うって！」
彼氏さんでしょ！？ と念を押す後輩に苦笑し手を振って、Aは駅を目指した。
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お塩(プロフ) - ゆぃさん» ゆぃさん、一気読み疲れないですか？今後どんどん長くなる上に、どんどん何なのこの人たちってなるので(笑)ありがとうございますー！ (2021年10月3日 19時) (
レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
ゆぃ(プロフ) - 小出しもいいけど、一気に読めると尚嬉しいから 一気に出しても大丈夫ですよ~♪ (2021年10月3日 13時) (レス) @page29 id: 7a81be16ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お塩
| 作成日時：2021年9月29日 1時
