どうしよう ページ18
「お待たせしやした。すいませんこちら上がってどうぞ」
「日本語どうした。っていうか俺は寒くてもうヤバい」
「流石に松潤さんが私の自宅にいるのは緊張するからって、寒いの？ 言ってよ！ 早くこっちですわよ松潤さんっ」
「ごめん、まさかこうなるとは思ってなかったからってぇおい！ 松潤さんってなんだよさっきから」
現れた時、松本は傘を持っていなかった。けれど殆ど濡れていなかったから、Aが帰ってくるよりも前から待っていたのだろう。
誰に見られるともわからないマンションの近くで。
(明日本当に不審者情報出てたらどうしよう‥‥)
家族向けの大きなマンションは、結構定期的に不審者情報が回覧される。
なんとなく今夜の松本もそこにカテゴライズされそうだなと考えて、天下の松潤が‥とひっそり笑いが浮かんでしまった。
「楓さん？」
「あ、なんでもない、ごめん。どこ座っても良いよ」
一続きになったリビングダイニングにはカウンター付のシステムキッチンがあり、そのカウンターに寄せる形で四人掛けのダイニングテーブルが置いてある。無垢材なのか、少しあせた色味が味のあるデザインだ。
リビングにはラグが引かれ、これまた飾り気のない昔ながらの丸い座卓と、三人掛けの緑色のソファが置いてある。その向かいにある小さめのテレビはこの部屋には不釣り合いな印象を松本に与えた。
(‥‥、わりと広いな‥ここ、家族用のマンションだよなぁ)
見たところAが1人暮らしなのは玄関の様子ですぐに解るが、そんな彼女がどうしてこんなところに？ と松本に疑問が芽生える。
都内のこの場所。一等地ではないが比較的暮らしに便利な立地の家族向けマンションに、一人で。金銭的に余裕があるのかなと余計なことを考えて、はた、と一つの可能性に行きつく。
松本はつい考え込んでしまった。
「松本さん？ 座らない？」
「あ、いや、座る座る」
それを口にする前に、勧められるがまま座ったダイニングテーブルの椅子の座り心地に松本は息を吐く。
「おおっ椅子が回転するじゃん！」
「便利なんだよ〜。松本さん何飲む？ 紅茶コーヒー緑茶があるよ」
「水は？」
「水道水なら」
「じゃあコーヒー」
「ブラック？」
「うん」
「はーい、しばしお待ちを」
返事をしつつ、この人水に並々ならぬ感情を抱いているのかと思うAは、松本がまさに水にこだわりを持つ男だとは知らなかった。
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お塩(プロフ) - ゆぃさん» ゆぃさん、一気読み疲れないですか？今後どんどん長くなる上に、どんどん何なのこの人たちってなるので(笑)ありがとうございますー！ (2021年10月3日 19時) (
レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
ゆぃ(プロフ) - 小出しもいいけど、一気に読めると尚嬉しいから 一気に出しても大丈夫ですよ~♪ (2021年10月3日 13時) (レス) @page29 id: 7a81be16ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お塩
| 作成日時：2021年9月29日 1時
