置き換えてみる ページ15
Aは彼に恋愛感情が湧かないから気にしていなかった。
――けれど、松本の彼女は。
自分に置き換えて考えたら凄く嫌な気分になる、彼氏の女友達というポジション。距離が近くて仲が良くてでもお互いに恋じゃない相手――
現状の自分が松本にとってもそんな相手かAに判別はできない。けれど、少ない経験から察するに、今の急激な距離感の近さは、まさにそんな相手に当たるのではないか。
そんな自分の立ち位置を想像すると、(本当にそんなつもりは無いんですごめんなさいごめんなさい！！)と全方向に土下座したくなる。人によっては異性と二人で出かけたら浮気！ と考えるらしいので、もしも彼女さんがそうだったら完全にアウトである。
(まぁ芸能人なんてそんなこと言い出したらキリがないのかもしれないけど‥)
それでも、そう言う関係の相手が居る事実だけで傷つけてしまうんじゃないか、そう思う。
松本が飽きるまでの関係だろうかと以前考えたことがあったけれど、いつかその彼女さんにキレられた時が、二人の関係が終わる時かも知れない。
(怒られたら止めるってのは、その通りなんだけど、違うような気も‥‥わからん)
指先でスマホを弾く。触らずにいたから暗くなった画面がついて、松本の文面で終わったままになっている。
「花見がしたかったって言われても、なんなの」
ばぁか、と内心で呟き返す言葉を考えているうちに仕事の時間が来て、Aは気持ちを切り替えた。
また夜にでも返事すればいいかな、と。軽い気持ちで。
「はー‥‥まぁた遅くなっちゃったよぃ‥‥」
最寄り駅の改札をくぐった時、時刻は二十時。
本当は午後の取材が終わったら直帰の予定だったのに、どうしても会社に戻らなくてはいけなくなってしまい、そのままこんな時間まで。その代わり明日は午後出社になっている。フレキシブル万歳。
「まぁ今週乗り切ればお休みが待ってる‥！」
今からスーパーに寄って買い物して、と考えると結局夕食は二十二時頃になってしまう。そんなのは嫌だ。できればもう食べ終わっていたい時間なのに。
来週に某大型オタクイベントを控えているAにとって、今は夕食を食べる時間も惜しいのが実情だ。
(サークルチェックしないと！！)
使命感に燃える。このために仕事頑張ってるんだと声を大にして言いたい。
そう、Aは生粋のオタクである。世を忍んではいるけれど。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 176人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
お塩(プロフ) - ゆぃさん» ゆぃさん、一気読み疲れないですか？今後どんどん長くなる上に、どんどん何なのこの人たちってなるので(笑)ありがとうございますー！ (2021年10月3日 19時) (
レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
ゆぃ(プロフ) - 小出しもいいけど、一気に読めると尚嬉しいから 一気に出しても大丈夫ですよ~♪ (2021年10月3日 13時) (レス) @page29 id: 7a81be16ec (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：お塩
| 作成日時：2021年9月29日 1時
