彼のこと ページ14
そう返すと、暫く返信が途切れてしまう。
Aは特に気にすることもなく、手帳をチェックし始めた。
この仕事に就くまで知らなかったが、雑誌編集は忙しい時期があらかた決まっている。しかしAは雑誌以外の事務的な業務も負っているため、そちらも手を抜けない。
(うーん、案外時間ないんだよなぁ)
勿論土日は休みになるが、休日出勤もザラである。残業も勿論。ちゃんと手当はつくが、まとまって休む時間が欲しいのが実情だ。
(週末は掃除したり何もしなかったり新刊チェックしたりなんやかんや忙しいもんなぁ)
今週末からはGWが始まる。大型連休は交代で出勤があるし、五月に入ってから三日間の休みはイベントの予定をぶち込んである。
(皆さんの新刊楽しみだなぁ、ああそろそろ差し入れ買いに行かないと)
脳内がどんどん趣味の世界に向かっていくAは、今自分の表情大丈夫だったか？ と意識を取り戻す。
同時にスマホに通知が入ったので視線をそちらに向けて、おや？ と思う。
Jun.Mとにかくさ、花見したかったよ〜
「‥‥」
いやだから、したんじゃないのか花見。
そんなツッコミが脳内を駆け巡る。
嵐のメンバーと行ったの？ に答えなかったのは触れてほしくないからだろうか。
(大方彼女さんとかだろうなぁ。別に隠さなくてもいいのに、気にしないから)
Aは本当に気にしていない。
例えば彼女が最近のやりとりで松本に恋していたり、彼と恋愛関係にあったとしたら嫉妬を覚えたかもしれない。というかもしも恋愛関係にあったら二股浮気相手扱いになるので、どちらにしろ御免である。
(ほんとビックリするほど松本さんは妄想の相手にもならないもん。世界が違い過ぎて)
夢見る乙女体質というわけでも無いし、自分と芸能人の恋愛を妄想したことも無かったので、Aは自分が大物アイドルと仲良くなっている現実をいまだにどこか他人事のように感じている部分があった。
(松本さんと会ってもなんかでっかい犬か猫に懐かれた感じなんだもんな。‥‥でっかい猫、良いなぁ)
もふもふ長毛の巨大な猫を妄想してニヤニヤ。それから、ぼんやりと考える。
松本には恋人がいる。
それは多分間違いない。
本人に確認を取ったわけでもない。世間一般の情報だが、正しいのならお付き合いしている相手は同じ芸能人だ。
勿論、本当かどうか鵜呑みにはできないけれど。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 176人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
お塩(プロフ) - ゆぃさん» ゆぃさん、一気読み疲れないですか？今後どんどん長くなる上に、どんどん何なのこの人たちってなるので(笑)ありがとうございますー！ (2021年10月3日 19時) (
レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
ゆぃ(プロフ) - 小出しもいいけど、一気に読めると尚嬉しいから 一気に出しても大丈夫ですよ~♪ (2021年10月3日 13時) (レス) @page29 id: 7a81be16ec (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：お塩
| 作成日時：2021年9月29日 1時
