何の話？ ページ24
申し訳ないことを言ってしまったなぁと改めて思う。
けれど、松本はそれ以上触れてこない。それどころか、目の前でAそっちのけで苦悩するように難しい顔をしている松本は、やはりイケメンだった。
Aは気を取り直してそんな彼を(やっぱり芸能人！ って雰囲気だよねぇ、色々創作の勉強になります)と図々しくも見つめて食事を続けた。気を取り直すのが早過ぎである。
「美味しかった、ご馳走様でした！」
「‥‥ん」
お皿を片付けて、ぬるくなったコーヒーを飲む。そう言えばあの夜も最終的に冷えたコーヒーを飲んだなぁとなんとなく思って、もう一度松本の方を向く。
時刻は二十二時。普通の感覚ではそろそろお開きなのだが、結局松本が何をしにやってきたのか解らないまま。
(ええい女は愛嬌よりも度胸！)
「松本さん」
「‥‥なに」
「もう二十二時なんですけど」
「‥‥うん」
「帰らなくて大丈夫？」
「‥‥帰ってほしい？」
「そりゃそのうちには」
「‥‥明日朝五時起きなんだよね」
「ちょっ、もうそれ帰らないと」
「Aさん」
俯いたままの松本が、そっと顔を上げる。
その表情が、まさに捨てられた子犬、叱られた子猫、そんな不安げなもので。
小さくて柔らかい生き物が大好きなAの胸を撃ちぬいていく。
(待って落ち着くのよ、相手は超アイドル兼俳優！ 作戦かも！ って、作戦ってなんの！？ ‥‥いや、松本さんは‥)
そうじゃないと、思っている。
演技だと思うよりも、信じたい。折角こうして不思議な縁で繋がってるのだから。
「なに」
「‥‥今日昼間怒った？」
「？ いや、全然怒ってないよ？ 何の話？」
本気で解らなくて、Aの頭の中は疑問符でいっぱいになる。
言い出しにくそうにしてる松本をじっと見つめる。
昼間、というとあのメッセージしか思い浮かばない。けれど、あのやりとりの一体どこに腹を立てるポイントがあったのだろうか。
むしろそれは松本の方なのではないかとAは思う。彼のプライベートに突っ込んだ質問はしない方が良かったのだ。
ひょんなきっかけでいくら仲良くなったとは言え、相手はスーパーアイドル。
そうは思ってみても、松本と会話をしているとAはその事実をすぐ失念してしまう。
顔が見えないからか、声が聴こえないからか。それとも出会いがぶっ飛んでいたからか。
考えても答えは解らないけれど。
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お塩(プロフ) - ゆぃさん» ゆぃさん、一気読み疲れないですか？今後どんどん長くなる上に、どんどん何なのこの人たちってなるので(笑)ありがとうございますー！ (2021年10月3日 19時) (
レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
ゆぃ(プロフ) - 小出しもいいけど、一気に読めると尚嬉しいから 一気に出しても大丈夫ですよ~♪ (2021年10月3日 13時) (レス) @page29 id: 7a81be16ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お塩
| 作成日時：2021年9月29日 1時
