一等星 ページ6
あなたは私の一等星。
地上で輝く、誰よりも美しい星。
過ぎた望みだって解っていたけど、私はずっとあなたに恋をしていた。
合鍵は貰っているけれどチャイムを鳴らす。部屋にいるかもしれないから。
暫く待って反応が無ければ、合鍵で解錠してエレベーターホールで上層階専用のそれに乗る。
フツウの一軒家よりよほど広い玄関を通りすぎた扉の向こうのリビングはざっと30畳。どんな部屋だっていつも思う。
キッチンはアイランド型で、横の方に小さなバーカウンター。ダイニングのテーブルに荷物を置いて、冷蔵庫に買って来た食材を詰める。
手洗いうがいをして、スマホを取り出して内容をチェック。
食べたいものがずらっと書いてあって、面倒だと思うけれどいつものことだからとエプロンをつけて作業を始める。
この部屋の主が帰ってくるまであと三時間。その間に色んなことを終わらせなきゃいけないのは案外骨が折れる。
だけど、しょうがない。
染みついたこの習慣が、私をここから引き離してくれない。
「そろそろかなぁ」
豚バラ肉の塊を煮込んでいる間に、広い部屋にお掃除ロボットを走らせる。この子は私の仕事仲間みたいなもんだ。
細かいところは掃除機をかけて、その間に洗濯機が乾燥まで終わりを告げる。お利口さんだね。
トイレもお風呂も綺麗にして、玄関の棚も拭いておく。
そこから廊下をざーっとクイックルワイパーを掛けている最中にチャイムが鳴った。
「えっ、もう？ わ、もしもし」
『開けて』
「はーい」
鍵持ってるでしょってツッコミはしちゃいけない。ただでさえ疲れてる彼の機嫌を損ねるのは得策じゃないから。
大急ぎで掃除道具を片付けて、キッチンで鍋を覗き込む。ちょうどいい感じだなって出来栄えに満足しつつ、火を止めてもう一度玄関へ。
「おかえりなさい」
「おう、ただいま。めっちゃいい匂いする」
疲れた顔だけど、目が大きくなった。美味しそうな匂いって人を元気にするよね。
靴を脱ぎながら目ざとい彼は、玄関の棚や廊下が綺麗になっていることに気が付く。
「埃無くなってんじゃん、サンキュ」
「手洗っておいでよ」
「はいはい」
私にリュックを渡して洗面所に引っ込む背中を見送ってリビングへ行く。
荷物を定位置に置いて、私は食事の盛り付けにかかった。
「おー、今日も旨そう！ ありがとなA」
「どういたしまして、潤」
コップに水を注いだ家主の潤が満足そうに笑った。
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ゆかり - 潤君素敵です (2022年9月11日 17時) (
レス) @page44 id: c109875420 (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - いくさん» いくさんコメントありがとうございます！えっえっニノ担さんですか！私はＪ担推しでニノを宗教だと思っている人間ですので、ニノ担の方に好きになってもらえるなんて最高です！！ありがとうございます！！別ページに幸せな結末もあるのでもし宜しかったらそっちも是非！ (2021年10月31日 20時) (レス) id: bdf4956e41 (このIDを非表示/違反報告)
いく(プロフ) - 悲しくて泣きながら読んでました。お塩さんのお話し読んでから、ニノ担でしたが、Jが大好きになっちゃいました。 (2021年10月31日 19時) (レス) id: b9250881d5 (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - りえさん» りえさんコメントありがとうございます！すみません、すぐ分かるあそことは『世界は二人のために色づいて』というハピエンページです！ハピエンページということは、そういうことです！是非是非いってらっしゃいませです！！ (2021年10月31日 18時) (レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
りえ(プロフ) - くるしい、かなしい、と思いながら読みました。でも「多分すぐわかるあそこ」が分からない…どこなのでしょう。 (2021年10月31日 17時) (レス) @page29 id: 99c0de9694 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お塩
| 作成日時：2021年9月1日 22時
