＊ ページ38
交わしたのは、拙く激しい愛情。
差し出したのは、おたがいの心、未来。
もう何も要らない。
この人が傍にいるなら、一緒にどこへだって行く。
地獄だってかまわない。
私の恋心にうっすらと気づきつつ、家を出てしまったからもうダメかなと思っていたし、気持ちは収まったと思っていたと潤は語った。
彼女も居たし、やることもやってた。
だけどいつもAを思い出したって、自嘲するように。
彼女を抱くたびにAはどんなふうに鳴くかなとか、どんな反応するのかなとか。もう、誰かに抱かれたのかなとか――考えて胸を掻きむしられるような苛立ちと焦燥に苛まれて苦しくてしょうがなかった、と。
そんなの私も一緒で。
進学で離れて、彼氏だっていたことがあって、勿論もうハジメテじゃなくて。
抱かれながら、いつも考えていた。潤の顔、声、触れたことのない肌のぬくもりを想像して、いつも隠れて泣いていた。
好きだよ、どうしようもないほど。
その言葉と共に降る、キス。
抱きよせられて、心は嬉しくて嬉しくて、そしてどうしようもない後悔に苛まれた。
それはきっと潤も同じ。
あの夏の日に、太陽に灼かれて私は恋に落ちた。
私たちは、決して許されない恋に堕ちた。
私は17歳だった。
母は私が赤ちゃんの頃病気で亡くなって、悋気で勝ち気なおばあちゃんと優しくて豪快なおじいちゃんに育てられた。
父は仕事が忙しい人で、あまり起きてるときに会えなかったけれど、いつだってまっすぐに一杯愛情を注いでくれていたから、私は非行に走ることも捻くれた子供になることもなくごく普通に育った。
15歳でおばあちゃんが、16歳でおじいちゃんがあっという間に亡くなって、だから。
父は私に彼女たちを紹介した。
話には聞いていた、父には恋人がいるって。
そして、その人との間に子供がいるって。
母が亡くなった後の父を支えた、私の知らない女性。
だけど父はほとんど私のところに帰って来ていたから、彼女はずっと耐えていたんだろうなって17歳の、恋愛だってそんなに知らない子供ながらに思った。
そして、紹介された、あの日。
「松本潤です」
そう言った15歳の君は、私の異母弟。
意志の強そうな太い眉と、くっきりきれいな二重とばっさばさの睫毛。
父よりも、相手の女性に似ているその容姿は、一言でいえば綺麗でイケメンで。
それが理由じゃ無いけれど、私たちの間を吹き抜けた雷鳴みたいな感覚は、一生忘れられない。
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ゆかり - 潤君素敵です (2022年9月11日 17時) (
レス) @page44 id: c109875420 (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - いくさん» いくさんコメントありがとうございます！えっえっニノ担さんですか！私はＪ担推しでニノを宗教だと思っている人間ですので、ニノ担の方に好きになってもらえるなんて最高です！！ありがとうございます！！別ページに幸せな結末もあるのでもし宜しかったらそっちも是非！ (2021年10月31日 20時) (レス) id: bdf4956e41 (このIDを非表示/違反報告)
いく(プロフ) - 悲しくて泣きながら読んでました。お塩さんのお話し読んでから、ニノ担でしたが、Jが大好きになっちゃいました。 (2021年10月31日 19時) (レス) id: b9250881d5 (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - りえさん» りえさんコメントありがとうございます！すみません、すぐ分かるあそことは『世界は二人のために色づいて』というハピエンページです！ハピエンページということは、そういうことです！是非是非いってらっしゃいませです！！ (2021年10月31日 18時) (レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
りえ(プロフ) - くるしい、かなしい、と思いながら読みました。でも「多分すぐわかるあそこ」が分からない…どこなのでしょう。 (2021年10月31日 17時) (レス) @page29 id: 99c0de9694 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お塩
| 作成日時：2021年9月1日 22時
