いつか恋をする日まで ページ31
どうして出会ってしまったんだろうって、可哀そうなヒロインみたいな気持ちで目の前の彼を見つめていた。
ごめんって、その柔らかくてちょっと歪んだ唇が音を紡いで。
ああもうダメなんだな、終わりなんだって勝手に涙がこぼれ落ちた。
泣き落としとか、涙が女の武器だとか、そう言うのが嫌いな私が泣くから、君はちょっと狼狽えて。
だけどもう、その腕は私に差し伸べられることは無いんだね。
大きな掌が頭を、背中を撫でてくれることは、無いんだね。
「ごめん、Aごめんな‥‥俺」
その先の言葉は、言わないで。
知ってるから。
見てれば解るよ。だって私は潤のことが大好きだから。
態度で解るよ。私の事、もう好きじゃ無いんだってことくらい。
だって。
だって私は、今もこんなに、息もできないくらいに潤が好きだから。
離れていく気持ちが怖くて辛くて、少しでも引き伸ばしたくて、わざと会う時間を減らしたり、電話に出なかったり、話を逸らしたり。
今思えばそんなの何一つ無駄で、逆効果で、どんどん潤を追い詰めてたよね。ごめん。
早く君の手を離せなくて、ごめんなさい。
一緒に過ごした一年が楽しすぎて幸せ過ぎて、潤の気持ちが他の子に向いてること、認めたくなかった。
潤の誕生日を一緒に祝おうって、潤の部屋で。
チョコレートケーキにろうそくを刺して火をつけて――向けられた困ったような笑顔。あの時にはきっともう潤の心に私は居なかった。
一緒に祝いたい相手が、傍に居てほしい人が、他に居たんだね。
掛かってきた電話に躊躇なく出て、部屋を移った君の背中がすべてを物語ってた。
「もっと早くちゃんと言えばよかった。そしたらこんなにAのこと泣かさなかったよな」
首を横に振る。
いつ言われたって、きっと私は泣いていた。
でも。
今で良かった。
私の無駄な抵抗に付き合ってくれてありがとう。
そうじゃなかったらきっと泣いて喚いて、週刊誌にばらすくらいのこと言って、二人の思い出を穢してしまったと思うから。
もう潤には、私との思い出が必要なくても。
私にはまだ、必要だから。
もう少しだけ忘れないでいても良いよね。
愛し合ってた日々は嘘じゃないって、思ってて良いよね。
「潤、‥っ今までごめんね」
「‥‥、なんで、なんでAが謝るんだよ」
「ほんとはもっと早く終わらせたかったのに、私の茶番に付き合ってくれて、ありがとっ」
「‥‥‥A」
潤が瞠目した。
そんな顔も、好き。
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ゆかり - 潤君素敵です (2022年9月11日 17時) (
レス) @page44 id: c109875420 (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - いくさん» いくさんコメントありがとうございます！えっえっニノ担さんですか！私はＪ担推しでニノを宗教だと思っている人間ですので、ニノ担の方に好きになってもらえるなんて最高です！！ありがとうございます！！別ページに幸せな結末もあるのでもし宜しかったらそっちも是非！ (2021年10月31日 20時) (レス) id: bdf4956e41 (このIDを非表示/違反報告)
いく(プロフ) - 悲しくて泣きながら読んでました。お塩さんのお話し読んでから、ニノ担でしたが、Jが大好きになっちゃいました。 (2021年10月31日 19時) (レス) id: b9250881d5 (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - りえさん» りえさんコメントありがとうございます！すみません、すぐ分かるあそことは『世界は二人のために色づいて』というハピエンページです！ハピエンページということは、そういうことです！是非是非いってらっしゃいませです！！ (2021年10月31日 18時) (レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
りえ(プロフ) - くるしい、かなしい、と思いながら読みました。でも「多分すぐわかるあそこ」が分からない…どこなのでしょう。 (2021年10月31日 17時) (レス) @page29 id: 99c0de9694 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お塩
| 作成日時：2021年9月1日 22時
