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その背中を見つめて溢れそうになるものをなんとか堪えて。
だけど。
私は絶対結婚式は外でやらない。
オーシャンビューなんて死んでもイヤだ。
夕焼けは暫く好きになれない。
晴れ渡った秋空はもう見上げられそうもない。
夕焼けが滲む。
どうして私はあの時勇気を出せなかったのかな。
後悔したって遅い。もう、どうしようもなく遅いのに。
溢れて溢れて涙と一緒に流れて消えて行って。
翔を好きだって思ってた私の恋心。
夕日が沈むまでは。
夜が来るまでは。
今だけは泣かせて。
「‥‥」
すぐ後ろで、ため息。
それからジッポの開く音。シュボッて着火して、また金属音。
「‥‥」
どうしていつも来るかな。
このタイミング、どっかで見てたなコイツ。
「不細工に拍車がかかるぜ」
「うっさい」
「夕日きれいだな」
「死ぬほど嫌いになりそう」
「結婚式で呪うなよ」
「そんなことしないっ‥翔にもあの子にも‥‥幸せになってもらわないと困る」
ずびっと鼻を啜ると「きたなっ」て笑い声。
私の顔の前に突き付けられたハンカチから香るのは、私のでも翔のでもない香水の匂い。悔しいけど嫌いじゃない香り。
「‥ありがと、潤」
「洗濯して返せよ」
「アイロンもするね」
「できんの？」
「なめんな」
ずび。ぐすっ。
私の横で、薄暗くなっていく空を背にゆっくり上っていく白い煙。
昔っから泣いてる私の隣で何も言わずに寄り添って、ただ居てくれるだけの潤にどれだけ助けられてきたか。
きっとさっきまで沢山の女の人たちに声を掛けられてたはずなのに、私のとこに来ちゃう潤は意地悪なのに優しい。
「‥‥翔がね、昔好きだったって言うから」
「あー、アイツやっと言ったの」
「知ってたの」
「見てたからね、一番近くで」
「そっか‥‥じゃあ潤には私たち馬鹿に見えてたでしょ」
「まぁね。でもま、俺も人のこと言えねぇし」
また、笑う気配。
見上げれば私を見ていた潤が、にひっていたずらっ子みたいに歯を見せて笑った。
彫が深くて驚くほどのイケメンなのに、笑顔が少年みたいだ。
「俺だって馬鹿だよ。ずーっとすれ違ってる馬鹿二人の女の方、ずーっと好きなんだから」
「‥‥っ、今、言わないでよ」
「今しかねぇだろ‥‥A、いい加減俺にしろよ」
夕日の赤が、消えていく。
空は綺麗な紫に染まって。
「もう手加減しねぇからな」
そう言って潤が泣きそうに笑った。
―――
初恋は実らない
実らない？
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ゆかり - 潤君素敵です (2022年9月11日 17時) (
レス) @page44 id: c109875420 (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - いくさん» いくさんコメントありがとうございます！えっえっニノ担さんですか！私はＪ担推しでニノを宗教だと思っている人間ですので、ニノ担の方に好きになってもらえるなんて最高です！！ありがとうございます！！別ページに幸せな結末もあるのでもし宜しかったらそっちも是非！ (2021年10月31日 20時) (レス) id: bdf4956e41 (このIDを非表示/違反報告)
いく(プロフ) - 悲しくて泣きながら読んでました。お塩さんのお話し読んでから、ニノ担でしたが、Jが大好きになっちゃいました。 (2021年10月31日 19時) (レス) id: b9250881d5 (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - りえさん» りえさんコメントありがとうございます！すみません、すぐ分かるあそことは『世界は二人のために色づいて』というハピエンページです！ハピエンページということは、そういうことです！是非是非いってらっしゃいませです！！ (2021年10月31日 18時) (レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
りえ(プロフ) - くるしい、かなしい、と思いながら読みました。でも「多分すぐわかるあそこ」が分からない…どこなのでしょう。 (2021年10月31日 17時) (レス) @page29 id: 99c0de9694 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お塩
| 作成日時：2021年9月1日 22時
