初恋は実らない ページ1
雨が降れば良いのにって思った。
そんな捻くれた私の気持ちをあざ笑うような、どこまでも突き抜けて澄んだ午後の秋空。
後2時間もすれば夕暮れのオーシャンビュー。
ガーデンウェディングが夢だったのって、綻んだ花のように。
誰よりも綺麗に微笑んだ純白のドレスに身を包んだ親友。
おめでとう。
――あなたが羨ましい。
おめでとう。
――あなたが妬ましい。
おめでとう。
――幸せになってなんて、言いたくない。
だけど、不幸になんてならないで。
絶対ならないで。
だって、そうしたら彼が傷つくから。
私の幼馴染。
大事な幼馴染。
ずっとずっと大好きだった、私の――
「A！！」
神前式を終えて、立食形式の披露宴は海を臨む芝生の庭園。
花嫁の夢がたくさん詰まった紫とピンクと白のバルーンに彩られたアーチ、真ん中で真っ赤なハートが二つ並んでいる。
ぼんやりと見上げていると、後ろから私を呼ぶ、一番聞きたくなくて一番大好きな声。
「今日はありがとな」
「――おめでとう、カッコいいよ。案外似合ってるねタキシード」
「馬子にも衣装だって皆に弄られたんだけど？」
「ふふっ、私の幼馴染はイケメンだから皆妬いてんじゃない？ お嫁さんも超かわいいし」
そう言って振り向けば、学生時代の友人たちに囲まれて華やかな笑顔を振りまいている、花嫁さん。
今日のこの日の一番の主役は、暮れなずみ色を濃くする青空を背に、誰よりも美しい。
そんな彼女を見つめる幼馴染は、誇らしげで嬉しそうで、悲しくなるほど幸せに笑っている。
「‥‥長かったもんね、何年付き合ってたっけ」
「ん？ 大学ん時からだから‥‥8年か」
「そんなに経つんだ。‥‥大恋愛だったもんねぇ、何度私は君らのケンカの仲裁をしたことか」
「これからも宜しくお願いします」
「お断りなんだけど！？」
「そう言うなって、Aだから俺ら安心して話せるんだし」
残酷だなって思う。
小学生の頃からずっと隣にいて、彼から得たものは、絶対の信頼。
嬉しくて嬉しくなくて、誇らしくて空しい。
何度離れようかって思ったのに、結局は好きで。
傍に居て苦しいだけなのに、やっぱり好きで。
馬鹿みたいに離れられなくて、馬鹿みたいに想い続けて。
そして今日、確実な最後通告を勝手に受けて、それでも隣で幼馴染の仮面をつけて笑っていなきゃいけない。
海風が吹き抜ける。
ちょっとだけ肌寒い10月の夕方。
夕日が、徐々に水平線へと近づいていく。
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ゆかり - 潤君素敵です (2022年9月11日 17時) (
レス) @page44 id: c109875420 (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - いくさん» いくさんコメントありがとうございます！えっえっニノ担さんですか！私はＪ担推しでニノを宗教だと思っている人間ですので、ニノ担の方に好きになってもらえるなんて最高です！！ありがとうございます！！別ページに幸せな結末もあるのでもし宜しかったらそっちも是非！ (2021年10月31日 20時) (レス) id: bdf4956e41 (このIDを非表示/違反報告)
いく(プロフ) - 悲しくて泣きながら読んでました。お塩さんのお話し読んでから、ニノ担でしたが、Jが大好きになっちゃいました。 (2021年10月31日 19時) (レス) id: b9250881d5 (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - りえさん» りえさんコメントありがとうございます！すみません、すぐ分かるあそことは『世界は二人のために色づいて』というハピエンページです！ハピエンページということは、そういうことです！是非是非いってらっしゃいませです！！ (2021年10月31日 18時) (レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
りえ(プロフ) - くるしい、かなしい、と思いながら読みました。でも「多分すぐわかるあそこ」が分からない…どこなのでしょう。 (2021年10月31日 17時) (レス) @page29 id: 99c0de9694 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お塩
| 作成日時：2021年9月1日 22時
