やっぱり無いストール ページ17
何事も無く過ぎていく毎日。
それこそあの出来事は夢みたいになって、彼女の中で輝きつつも日々に埋没し始めた。
週を超えた火曜日は、からりと晴れた空を連れてきた。
「今日が休日とか、最高かーっ」
ちょっとゆっくり朝寝を楽しもうと、昨夜は夜更かしをしたのに結局いつもと同じ時間にアラームで起こされてしまった。
二度寝だ二度寝だ！ と布団に潜り込んでみたが、やけにさっぱりと目が覚めてしまい諦めて体を起こせば、清々しい初春の空が眩しく輝いていた。
「‥‥なんかめっちゃウキウキしてきたかも」
これは素敵な休日になりそうな予感！ と途端元気になる。いつも通りの平日が、彼女の中で休日になっただけなのに、まるで時間の流れまで変わってしまったかのようにゆったりとしている。
いつもと同じ時間なのに慌ただしさがない。この後の仕事内容を考えて朝っぱらから疲れることも無い。
「‥そうだ」
ふと思い立ったのはのんびりとコーヒーを飲みきった後のこと。
「やっぱりないかぁ‥‥」
通勤時間を過ぎた朝の飲み屋街は閑散として静まっている。
もう少しすると近所に住む高齢者が散歩に繰り出してくるのだが、それまではまるで世界に1人きりになったような気がする空間だ。
もしかしたらあのストールが置いてあるんじゃないかと諦め悪く探しに来たが、結果はいつもと変わらず、そして予想通り。
「そうだよなぁ‥あの人あの時首に巻いて帰っちゃってたもんなぁ」
夜でも煌々と明るいマンションのエントランスで何故気がつかなかったのか。寒さと眠気で疲れ切っていたとは言え、お粗末。
高かったのもあるけれど、本当に気に入っていたから未だに諦め悪く探してしまう。かと言って同じものを買う気にはならない。
もしかしたら。
もしかしたらあのストールを松本潤が持っていてくれるかもなんて。想い出にしてくれているかもなんて。
そんな妄想をしてしまうのは、少女漫画を読んだことのある大抵の女子にはついてくるんじゃなかろうか。
けれど、曲がった先のいつもの道は、いつも通りのコンビニがあって、数件のお店が今は静かに眠っていて、その向こうにはいつも通りの低めのビルがいくつか建っていて、信号機も横断歩道も無い十字路を過ぎればあっという間に住宅地で。
見えてくるのは、一人暮らしには不似合いの家族向けマンションの姿だった。
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お塩(プロフ) - ひーちゃんさん» ひーちゃんさん、コメントありがとうございます！えっ、ヒーちゃんさんも夢落ち潤担さんですか！？そんな偶然があるとは驚き過ぎて笑ってます。続きは実はできてるので、修正しつつそのうちページ作りますね！ゆっくりお待ちください！ (2021年9月22日 15時) (
レス) id: bdf4956e41 (このIDを非表示/違反報告)
ひーちゃん(プロフ) - お塩さま、作品を楽しく拝見させて頂いております。夢堕ち潤担！私もです( ・∀・)ﾉ﹛ﾊｰｲ!何だか嬉しく思いました。続きも心待にしております。 (2021年9月22日 2時) (レス) @page28 id: af081d03e4 (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - ゆぃさんありがとうございますっ！私の中ではむしろ一番古い話なので不思議な気分です(笑)創作意欲ばっかり溢れて実際は空回りですよ‥‥ふへへ。いつもゆぃさんに励まされてます！ほんとにありがとうございますー！！ (2021年9月1日 12時) (レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
ゆぃ(プロフ) - - ここにきてまさかの新作とは！驚きです！！お塩さんの書きたい意欲が凄い♪無理しないでくださいね~ (2021年8月30日 14時) (レス) id: 7a81be16ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お塩
| 作成日時：2021年8月7日 1時
