楽しんでる ページ21
まさかのウインク。
ばちこーんって音がしそうなほどきれいで完璧なウインクをされてしまうと、こんな美形に免疫のない彼女は頭の中に大量のクエスチョンマークを浮かべたまま流されてしまうのだった。
平日休みという非日常に、更なる非現実をぶち込んでくるなんて、神様がいるとしたらきっと楽しんでいるんだろうとぼんやり思いながら。
『お礼をしたいんだよね、個人的に』
それはなんだ、どんなドラマの内容だ。そもそも酔っ払いを薄暗い路地裏で介抱するのだって古今東西ドラマや小説の定石じゃないか。
オタクゆえ今まで散々読み漁ってきた様々なジャンルの似たような設定の話が彼女の脳内を吹き荒れる。
飄々とした様子で少しも臆することなく斜め前に立って車窓を眺める姿に、バレないようにため息を吐く。
(ど、どうしてこんなことに‥‥)
平日だろうといつだって混雑している電車の中。思いのほか距離が近い！ と彼女が慌てたのは最初だけで、今では誰かにバレやしないかとハラハラしてしまう。
「‥‥」
相手が窓の外を見ているのをいいことに、じっと見つめる。
テレビで見ているままの端正な顔だが、ちょっとだけ口角が歪んだ感じなのがアンバランスで、また彼の魅力になっているんだろう。
昔からドラマにも映画にも興味がなくて、活字ばっかり追っていたから、よほど大人気の作品にならない限りは見たことが無かったけれど。
「‥‥あのさ、おねーさん」
「は、はい？」
「そんなに見つめられると俺ドキドキするんだけど」
「えっ、まさか」
「まさかまさか、だよ。まぁ俺の顔見惚れちゃうのは解るけどね」
「顔は、良いですもんね」
「だからひでーな、ほんと！」
顔は、と強調すれば、思いの外楽しそうな声音が聞こえた。見上げれば、楽しそうに笑っているのが見えた。
まだたった合計数時間しか一緒に居ないのに、一体何回この人にひどいと言われたのだろうか。それともそんなにひどかったんだろうかと、ちょっと心配になる。
「‥電車混んできましたけど大丈夫ですか」
ひそひそ声を潜めると、帽子を目深にかぶっただけでマスクもしていない相手は、解っているとでも言いたげに口元だけで笑った。
もしもバレたら大変なのは松本の方だろうに、しょうがないなぁみたいな顔をされてそのイケメン具合に恥ずかしくなる。
もしかして子ども扱いされているのだろうか。彼女は松本よりも年上なのに。
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お塩(プロフ) - ひーちゃんさん» ひーちゃんさん、コメントありがとうございます！えっ、ヒーちゃんさんも夢落ち潤担さんですか！？そんな偶然があるとは驚き過ぎて笑ってます。続きは実はできてるので、修正しつつそのうちページ作りますね！ゆっくりお待ちください！ (2021年9月22日 15時) (
レス) id: bdf4956e41 (このIDを非表示/違反報告)
ひーちゃん(プロフ) - お塩さま、作品を楽しく拝見させて頂いております。夢堕ち潤担！私もです( ・∀・)ﾉ﹛ﾊｰｲ!何だか嬉しく思いました。続きも心待にしております。 (2021年9月22日 2時) (レス) @page28 id: af081d03e4 (このIDを非表示/違反報告)
お塩(プロフ) - ゆぃさんありがとうございますっ！私の中ではむしろ一番古い話なので不思議な気分です(笑)創作意欲ばっかり溢れて実際は空回りですよ‥‥ふへへ。いつもゆぃさんに励まされてます！ほんとにありがとうございますー！！ (2021年9月1日 12時) (レス) id: c86e5730cc (このIDを非表示/違反報告)
ゆぃ(プロフ) - - ここにきてまさかの新作とは！驚きです！！お塩さんの書きたい意欲が凄い♪無理しないでくださいね~ (2021年8月30日 14時) (レス) id: 7a81be16ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お塩
| 作成日時：2021年8月7日 1時
