鬼灯の冷徹小話集☆その六 (ページ38)

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続きページ38

鬼灯side

逆行前、私はAさんと結婚した

しかしまわりの目もあったため、

ドライに接しなければならなかった

Aさんにドライに…辛かったです

でも、Aさんを守るためだったんです

ある夜、

Aさんは私に薬を見せた

明らかに毒薬と分かるもの

それを私にではなく、自分で飲むという

つい私は

鬼灯「飲めるものなら飲んでみなさい」

と言った

だけど、本心は…

飲まないでほしい…

ただの脅しであってほしい、と思ってました

しかし、Aさんは

ためらいもなく飲みました

気づいた時には、血を吐いて倒れるAさん

毒薬は即効性なのか、どんどん弱っていく

あぁ、頼む…どこかで止まってくれ

しかし無情にも、パタ、と落ちるAさんの手

動かなくなったAさんに、私は慟哭しました

発狂しそうなくらいに

すると、どういうわけか、時が巻き戻っていました

Aさんと結婚する数カ月前に

もうあんなことにはしない

ある日、

Aさんとふたりになった時

私は思いの丈をぶつけました

望まぬ結婚？むしろ逆ですよ

私が、Aさんと結婚させろと頼んだのですよ

そこから少しずつ、愛を育むつもりだったんです

しかし、追い詰められていた貴女は

それを待ってくれなかった

私が結婚に縛られていると思ったんですね

毒を飲んででも、私を解放しようとした

そんなのいらなかった

なのに…

鬼灯「…毒をあおるほど、私が嫌いだったんですか…」

悲しみが、声に出た

貴女「いいじゃないですか、お互い望まぬ結婚しなくて…」

なんてこと言うんですか

鬼灯「望まぬ結婚なんて、誰が言ったんですか！」

貴女「…え？」

鬼灯「やっと…やっとの思いで、結婚までこぎつけたというのに！」

貴女「え…じゃあ…望んで…？」

鬼灯「当たり前じゃないですか！」

貴女「だって、鬼灯さんだって…飲んでみろって…」

鬼灯「アレは、本気で言ったわけじゃなかったんですよ」

むしろ止めていれば…と今思う

色々すれ違いがあったものの

私はAさんと再び結婚した

今度は毒など飲まぬようにボディーチェックをして

そして

Aさんを周りに自慢しながら

今、私

めっちゃ幸せです

マンガでは生まれ変わっていますが、ここでは少し変えて逆行にしました

イメージ→「前世で死ぬほど嫌いだった王子が、私が愛さないと死ぬらしいです？」