小話 結界の中〜鬼灯〜 ページ34
貴女「…………」
ここは桃源郷のとある場所
Aはひとり、うずくまっていた
家のまわりに、強力な結界を張って
誰も寄せつけないようにしていた
なぜ彼女がこうなったのか…
きっかけは3日前…
地獄でのことだった
ある悪女が、Aを悪人にした
Aが殴ったとか、暴言吐いたとか
仕事押しつけたとか
もちろんAはそんなことしていない
だが悪女を信じた獄卒たちが、彼女を責めた
何をどう言っても、
誰も信じてくれない
そのことに打ちのめされ
Aは地獄を飛び出し、
桃源郷で暮らし始めた
強力な結界を張って
そのAを心配し、
白澤たちが彼女の家に来た
彼女を探しに来た鬼灯と一緒に
白澤「Aちゃん、出ておいでよ」
バチッ!
拒絶反応だ
貴女「もう帰って……帰ってよ!!」
白澤「…Aちゃん……」
悲しげな白澤
彼女はもう、誰も信じないつもりだ
誰ひとりとして
すると鬼灯が進み出て、結界に触れる
バチバチッ!!
鬼灯が触れると、激しく起こる拒絶反応
鬼灯「…ぅ、ぐぅぅっ…!」
白澤「おい!よせ、血ぃ出てるぞ!!」
白澤の言う通り、激しい拒絶反応で
彼の手は血が出るほど切れた
いくら頑丈な鬼灯といえど、痛くないわけがない
だがそれでも、鬼灯は手を引っこめなかった
鬼灯「この程度で引いていたら、Aさんを助けられません!!」
痛いのは自分の手じゃない
彼女の方だから
鬼灯は、優しく呼びかけた
鬼灯「…帰りましょう、Aさん…一緒に…」
貴女「(…鬼灯、さん…)」
バチバチ、バチ…
……スゥ……
拒絶反応が、やんだ
Aは結界を解き、家から出てきた
その彼女を、鬼灯は抱きしめた
貴女「鬼灯さん、その…ごめん…」
鬼灯の手を見て、謝るA
彼を傷つけるつもりはなかった
傷つけたくなかった
でも、怖かった
怖くてしょうがなかった
ここにまで来て、謝れとか言われるのが
鬼灯「大丈夫ですよ、それに痛かったのは貴女の心でしょうから」
不安からか、まだ震えているA
戻って大丈夫だろうか
色んな思いがあった
鬼灯は、そんなAを優しく抱き寄せた
鬼灯「Aさん、怖いのは分かります、しかしこのままでは、悪女さんの思うつぼですよ」
貴女「ど、どうしたらいいの?」
鬼灯「すべてを明らかにするのです」
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作者名:Nami☆ | 作成日時:2024年2月5日 7時