鬼灯の冷徹小話集☆その六 (ページ15)

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小話　塔の中〜鬼灯〜ページ15

貴女「…なんでなの…」

Aは呟いた

目の前には、鬼灯

鬼灯「Aさん…ここにいたんですね」

貴女「なんでここに…」

鬼灯「戻る気はありませんか」

貴女「私は閻魔庁を出た！もう何の関係もない！」

なんの話かというと…

それは数カ月前…

Aは地獄で獄卒として働いていた

しかし、ある日事件が起きた

Aがある獄卒を傷つけたと騒ぎがあった

Aは違う、何もしてないと言った

だが獄卒のそばにはAのカッター

これが証拠だとして、

Aは問題児扱いされ

ついには追い出された

その彼女は、白澤に相談した

貴女『白澤さん、桃源郷に辺境ってないかな？』

白澤『辺境？なんで？』

貴女『隠居しようと思って』

桃太郎『隠居なんて、そんな…』

白澤『ここにいたっていいんだよ？』

貴女『ありがとう、でもダメだ…あの子がここに来るかもしれないし』

白澤『…じゃあ…』

渋々白澤が教えてくれたのが、この塔だった

目立たなくて静か、人もめったに来ない

…はずだったのに

なぜか鬼灯が、ここにいる

貴女「私は何があっても戻らない」

鬼灯「なら、私を突き落として下さい」

いきなり、鬼灯はそう言った

鬼灯「このまま帰るくらいなら、突き落とされた方がいい」

…本気なのだろうか

鬼灯は、窓の近くで身じろぎせずにいる

貴女「………」

Aは、手を伸ばす

かと思えば

バッ

鬼灯「！！」

突然、Aは自分から、塔から飛び降りた！

これでいい

好きな人を突き落とすくらいなら

自分が落ちる…！

鬼灯「Aさん！！」

貴女「(ウソ…)」

見ると、なんと鬼灯が同じく落ちてきた！

引っかけたのか？

いや、違う

鬼灯は、Aを追いかけてきたのだ

このままでは、鬼灯まで地面に激突してしまう

そんなのは嫌だ

自分のことなど、放っといてほしい

地面が近い

せめて彼だけでも…！

そう思った時、

バフッ

白いものの上に落ちた

白澤「もぉー、無茶するんだから」

白澤が、神獣の姿で助けてくれたのだ

白澤「でもこれで分かったろ？Aちゃんがそんなことする子じゃないって」

貴女「…白澤さん、どういうこと？」

実は…

桃源郷をおとずれた鬼灯

白澤に、Aの居場所を聞き出した

最初は渋った白澤

しかし、粘る鬼灯に根負けし

とうとう教えたのだ