鬼灯の冷徹小話集☆その五 (ページ3)

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その頃、閻魔庁では…

鬼灯「Aさんはまだ見つからないのですか？」

鬼灯はそう獄卒たちに聞いた

今、閻魔庁では地獄中にお触れをだし

Aを探していた

獄卒「鬼灯様〜」

鬼灯「あ、貴方は衆合地獄の…」

獄卒「これ書類です」

書類を届けに来たその獄卒

ふと、近くに貼られていた人相書きを見た

獄卒「……」

鬼灯「どうしました？」

獄卒「あ、いや…似たような人を見たなって…」

やっぱり似てたなぁ

獄卒は呟いた

鬼灯「その人、どこで！？」

食い気味に言う鬼灯

獄卒「衆合地獄で…でも、こう、他人の空似ですわ、って言ってどこかに…」

獄卒が、その時の仕草や言動を再現して言った

獄卒「まぁ、あそこにAさんがいるわけないなって思って…Aさんお嬢様口調じゃないし…」

鬼灯「…それが、自分だと気づかれないための演技だとしたら？」

獄卒「えっ、じゃあ本人だった可能性も！？」

あちゃー…という仕草の獄卒

鬼灯「衆合地獄ですね？」

獄卒「で、でも見たの１時間も前で…今いるかどうか…」

鬼灯は、構わずに走り出した

鬼灯「(Aさん、お願いです、まだいて下さい…！)」

実は、人相書きを出したのは、

Aの無実が判明し、

彼女を閻魔庁に戻すためだった

……謝りたかったから

鬼灯「(…あんなひどいことを言ってしまってごめんなさいと、謝らせてほしい)」

二度と戻ってくるな

そう言ったのは鬼灯だった

その時の彼女は、どんな気持ちだっただろう

自分を恨んでいるかもしれない

いや、最悪それでもいい

戻ってくるなと言ったことを訂正させてほしい

そして…

戻ってきてほしい

鬼灯は、桃太郎ブラザーズを呼んだ

シロは匂いを

柿助は足跡をたどり

ルリオは空から探した

それだけでなく、芥子も導入し捜索する

シロだけでは不安だから

鬼灯自身も、Aを探しに走る

動きがあったのはルリオだった

ルリオ「！」

ルリオが、一人で歩くAを見つけた

適度に距離を取りつつ、岩にとまり

鬼灯がつけた無線で連絡する

ルリオ「鬼灯様、見つけました」

鬼灯『どこですか？』

ルリオ「衆合地獄の北の方です」

鬼灯『すぐ行きます！』

ルリオ「急いで下さい、もうすぐ抜けそうです」

鬼灯『私が着くまで、Aさんを足止めして下さい！』

ルリオ「了解です」

そう言って、ルリオは行動に出た